IDC Japanは4月12日、国内エンタープライズインフラストラクチャ市場に関するユーザー動向の調査結果を発表した。これによると、経営課題の優先順位上位3項目は、昨年の調査(2017年3月実施)と同じ「営業力の強化」「ビジネスモデルの変革」「新規ビジネスの創出」となった。
昨年の調査結果との比較では、上位3項目のうち「新規ビジネスの創出」の比率が低下する一方で、「営業力の強化」「ビジネスモデルの変革」が上昇した。まずは、既存事業を強化した上で新規事業の創出に注力したいとする意向が調査結果に表れたと考えられるという。
上位3項目の経営課題の解決手段として活用している、あるいは活用したいITテクノロジーとして「IoT(Internet of Things)」「機械学習/認知システム/AI」がそれぞれ1割前後を占めた。
一方、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取り組みに新たなテクノロジーを活用する上での阻害要因として「デジタルビジネスのアイデアを持つ人材が不足している」を挙げる回答者が突出して多い結果となった。この阻害要因が新規ビジネスの創出への取り組みに対する意欲を低下させた可能性があると指摘。
基幹システムのインフラはクラウドにシフト
また、ミッションクリティカルな基幹業務システムへの投資意向について「オンプレミスか、クラウドサービスか」「オープンシステムか、プロプライエタリーシステムか」といった視点から次期更新時の対応について質問。
前者では、最もミッションクリティカル度が高い基幹業務システムを回答者の83.5%が現在オンプレミスで運用しており、クラウドサービスは15.6%に留まった。しかし、次期更新ではオンプレミスが55.0%、クラウドサービスが43.8%で更新という結果となった。
さらに、現在オンプレミスで採用しているサーバは、オープンシステムが回答者の44.2%、プロプライエタリシステムが39.3%となり、次期更新ではともに低下してオープンシステムが回答者の30.4%、プロプライエタリシステムが24.6%となった。
このような結果から、ITサプライヤーにとってはオープンシステムであれ、プロプライエタリシステムであれ、基幹業務システムのオンプレミスの顧客ベースが3~4割程度減少することを示唆しているという。
ミッションクリティカルな基幹業務システムにおいてもクラウド化が進行するとの調査結果となったが「次期更新でクラウドサービスを採用する」とした43.8%のうち、3割強の回答者(14.4%)は「メインフレーム/オフコンに対応したクラウドサービス」や「サーバ/ストレージベンダーのクラウドサービス」を採用すると回答している。
つまり、ITサプライヤー、特にサーバベンダーやストレージベンダーは、オンプレミスでの需要減退を自社が提供するクラウドサービスで補えるかが、インフラストラクチャビジネスの維持に重要になると指摘している。