日立製作所は、マイクロソフトのMR(Mixed Reality:複合現実)ヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」(以下 HoloLens)を利用した、手術室構築イメージを体験できるコンテンツを開発したことを発表した。
手術室には、手術台や生体モニタ、麻酔器、各機器からの情報を表示するディスプレイなどさまざまな機器が配置されている。また手術は執刀医、麻酔科医、看護師など複数人のスタッフで対応するため、効率的に手術を行うための機器のレイアウトが重要だが、実際に機器を配置するまで、導入する手術室をイメージすることが難しく、事前に機器の運用などをシミュレーションすることは難しかった。
日立は、1999年に手術中に脳腫瘍の位置を把握する目的で、漏えい磁場の範囲が狭い永久磁石型オープンMRIシステムを大学病院の手術室に設置して以来、多くの大規模病院にオープンMRIシステムを納入してきた。2018年3月から販売している「OPERADA」は、オープンMRIシステムを中心に手術支援を行うナビゲーションシステムや、映像統合配信システムをパッケージとしたソリューションである。
今回、同社が開発したコンテンツは、HoloLensを用いて、デジタル手術支援ソリューション「OPERADA」を導入した手術室イメージを体験することが可能。HoloLensは没入型のVRヘッドマウントディスプレイとは異なり、視界を遮ることなく装着した状態で現実の周囲や自身の手元が見える。このため、これから手術室を新設する予定の病院や、機器の新規導入を予定している既存の手術室空間をMR空間としてバーチャルの医療機器を配置し、「実際の医療機器を配置した手術室をイメージしたい」「導入した機器をどのように操作するか事前にスタッフ間でトレーニングしたい」という医療現場のニーズに応えるという。
同社は今後、デモや医療現場での実証を通して、現場のニーズに応える手術支援や教育分野のコンテンツの拡充を図る予定だとしている。