オートデスクは、製造業向けソフトウェアの新バージョンを、4月5日より順次発売を開始した。

  • nventor の共有ビューを使って、オンラインでデータを共有している様子

    Inventor の共有ビューを使って、オンラインでデータを共有している様子

近年の製造業界では、魅力的な製品を市場投入するために、外観デザイン、環境性能、軽量化などの取り組みに対して多くの関係者がさまざまなアイデアを検討しながら共同作業を行っている。今回の新バージョンでは、こうした環境下で関係者が製品情報を効率的に作りこめるように、機能強化が図られている。

以下に記載している 3D CAD ソフトウェア「Autodesk Inventor」は、製造業向け総合パッケージ「Autodesk Product Design & Manufacturing Collection」の核となるソフトウェア。また、同パッケージに含まれる「Autodesk AutoCAD」新バージョンは、製造業や建設業など業種別の専用機能を搭載したツールセットを自由に使える「AutoCAD including specialized toolsets(業種別専用ツールセット)」(3月23日発売)。

3D CAD ソフトウェア

3Dメカニカル設計、解析、配管・配線、ツーリング機能を搭載した「Autodesk Inventor Professional 2019」は、大規模アセンブリの編集やパターン選択、図面のビュー作成などの動きがさらに機敏になり、設計作業効率が向上したほか、共有ビューの新機能を搭載。関係者は特別なソフトウェアをインストールすることなく、ブラウザを介して3Dモデルの確認やコメントを残すことが可能になり、コミュニケーションの質が向上した。

また、穴コマンド機能が改善され、スケッチを作成することなく、操作画面左側のツリー状ブラウザから位置やタイプ、サイズなど詳細を設定または変更してモデルを配置可能になり、設計作業効率が向上している。それに加え、クラウドベースの3D ソフト「Fusion 360」との連携が強化されており、クラウド上のCADデータの変更が随時Inventorへ反映されるようになった。価格は28万9000円(シングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)。発売日は4月5日。

製造業向け総合パッケージ

詳細設計、CAM、CAE、工場レイアウト設計など、製造業向け総合パッケージ「Autodesk Product Design & Manufacturing Collection」は、価格が38万6000円(シングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)。

  • Vaultのデータを「Fusion Team」を介して同期している様子

    Vaultのデータを「Fusion Team」を介して同期している様子

データ管理ソフトウェア

データの検索・参照・非CADデータの管理ソフトウェア「Autodesk Vault Office 2019」が3万8000円(マルチユーザー、1年間サブスクリプションの場合)、基本的なデータ管理・検索に加え、データの版管理、ファイルとフォルダのセキュリティ管理などの機能を追加した「Autodesk Vault Workgroup 2019」が、5万1000円(シングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)、Workgroup の機能のほか、設計変更の履歴、部品表管理などの機能を追加した「Autodesk Vault Professional 2019」が9万7000円(シングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)。

これらの主な新機能として、Vault に格納されているさまざまなデータをクラウドベースのデータ管理サービス「Fusion Team」 と同期できるようになり、社外の関係者と設計関連データにコメントを残したりすることがリアルタイムで行え、コラボレーションの効率が向上した。さらに、Vaultで管理している部品について、関連するドキュメントが最新かどうかのチェックが可能になり、古いバージョンの図面やモデルを誤って使うなどの人為ミスを低減している。発売日は4月5日。

  • PowerMillでVortex加工をしている様子

    PowerMillでVortex加工をしている様子

CAM ソフトウェア

2.5軸、3+2 軸、高速3軸加工に対応する高機能CAMソフトウェア「Autodesk PowerMill 2019 Standard」は94万円、Standard の機能に加えて、5軸、ロボット操作に対応するCAMソフトウェア「Autodesk PowerMill 2019 Premium」は140万9000円、Premiumに加えて、電極やブレード加工などに対応するCAMソフトウェア「Autodesk PowerMill 2019 Ultimate」は172万1000円(いずれもシングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)。

主な新機能は、加工する素材の形状を認識しながらVortex加工に対応(今まではボックス形状にのみ対応)したほか、CADモデルと比較して削り残した部分を表示するViewMill機能を新規に搭載して、作業効率を向上している。また、自動工具軸チルティング機能を新規に搭載し、形状への干渉を回避して加工を安全に行うことが可能になったのに加えて、アディティブ マニュファクチャリング(指向性エネルギー堆積方式)に新規に対応して、金属積層加工用のデータを作成可能になった。金属積層加工で部品に新しい形状を追加したり、表面をコーティングしたり、修理するなどの工程が可能になっている(Ultimateのみ)。発売日は4月5日。

また、設計データから NC コード生成までの作業を自動化するCAMソフトウェア「Autodesk FeatureCAM 2019」(Standard / Premium / Ultimate の3種類)は31万3000円から、金型などの複雑な構造物を設計するCADソフトウェア「Autodesk PowerShape 2019」(Standard / Premium / Ultimate の3種類)は37万5000円から、3D測定機器と組み合わせて形状を測定、計測するソフトウェア「Autodesk PowerInspect 2019」(Standard / Premium / Ultimate の3種類)は15万6000円(いずれもシングルユーザー、1年間サブスクリプションの場合)。発売日は4月5日。

シミュレーション ソフトウェア

樹脂流動解析アプリケーション「Autodesk Moldflow Adviser 2019」(Premium / Ultimate の2種類を提供)、高機能な樹脂流動解析アプリケーション「Autodesk Moldflow Insight 2019」(Standard / Premium / Ultimate の3種類を提供)、解析モデル作成、解析条件設定、解析結果閲覧が可能なAutodesk Simulation Moldflow Insight 用プリポスト「Autodesk Moldflow Synergy 2019」、解析結果の無償ビューア「Autodesk Simulation Moldflow Communicator 2019」、解析用にCADモデルを修正、簡略化するアプリケーション「CADdoctor for Autodesk Simulation 2019」は、いずれも4月23日発売。

熱流体解析アプリケーション「Autodesk CFD 2019」(Premium / Ultimate の 2 種類を提供)と、Autodesk CFD用プリポスト「Autodesk CFD Design Study Environment 2019」は、どちらも4月12日発売。そして、複合材の設計初期段階で仮想試作と解析を行うアプリケーション「Autodesk Helius Composite」と、Abaqus、ANSYS、MSC Nastran 用プラグインの「Autodesk Helius PFA」は4月23日発売となっている。