IDC Japanは4月4日、国内ビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)サービス市場予測を発表した。これによると、2017年の同市場は前年比4.7%増の7346億円となり、2017年~2022年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は3.6%、2022年の同市場規模は8769億円と予測している。
2017年の国内BPOサービス市場において、前年比成長率が最も高かったセグメントは人事BPOサービス市場となり、福利厚生の強化を目的とした外部委託への需要に加え、マイナンバー関連のスポット業務なども同市場の拡大に寄与した。2018年以降、マイナンバー関連業務は落ち着くものの、引き続き福利厚生業務を牽引役として、同市場は好調に推移すると予測している。
カスタマーケアBPOサービス市場においては、チャットやSNSを含むマルチチャネルへの対応や音声認識技術、コグニティブ/AIシステム、自動化などの活用が進み、業務内容が大きく変化していると指摘。加えて、製造業の企業がEコマースで自社製品の小売に乗り出すなど、異業種の未経験業務への取り組みも増加しており、これらを外部の専門家に委託したい需要が同市場の成長を押し上げているという。この傾向は2018年以降も続き、同市場は堅調な成長を継続すると推測している。
財務/経理BPOサービス市場では、プロセスの最適化やRPA(Robotic Process Automation)の導入などに伴う、業務改革の一環としてのBPOサービス利用の需要が高まっているという。また、複数のバックオフィス系業務と連携させ、広範囲の効率化/省力化を目指す動きも生じつつあり、人手不足の深刻化を背景に、これらのアプローチが今後同市場を支えていくことになると想定している。
調達/購買BPOサービス市場では、景気の不透明感に伴うコスト意識の高まりを背景に、全社的な視野でのコスト削減/最適化が遅れている間接材を中心として、ガバナンスを利かせた調達/購買プロセス最適化のニーズが高まっており、これが同市場の成長を押し上げているという。2018年以降も同市場は高い成長率を維持すると予測している。
同社のITサービス シニアマーケットアナリストである吉井誠一郎氏は「ますます深刻化する人手不足を背景とし、新しいテクノロジーの普及や、BPOサービスの位置づけの変化などによって、BPOサービスに求められる価値にも変化が訪れつつある。国内BPOサービスベンダーは、BPOサービスを業務改革の一環と捉える動きを受けて、RPAやデータ中心アプローチ(DOA)など新旧のテクノロジー/手法を積極的に駆使すると共に、海外も含め他のベンダーとも積極的に協業していくべきである」と述べている。