沖電気工業(OKI)は、ディープラーニングを用いて、「人の自然な表情や振る舞いから人の潜在的な感情を推定する技術」(以下、感情推定技術)の研究開発を開始することを発表した。
「感情推定技術」とは、表情やしぐさ、視線など人間が自然表出するデータをもとに感情を推定する技術のこと。焦りや困惑、興味や関心などの人の潜在的な感情領域で、対話型システムの利用シーンにおいて必要とされる感情を推定する。
例えば、公共施設や商業施設に設置されるKIOSK端末への適用では、操作映像から利用者が焦っていたり困惑したりしていることを検知すると、有人オペレーターにつないでチケット購入などの支援が行えるようにする。 また、サイネージシステムへの適用では、コンテンツに関心をもって立ち止まっている人を検知すると、システムから話しかけ、対話を通して興味や関心を判断しながら店舗や商品を提案していくことで、多様なニーズをもつ利用者の満足度向上を実現するという。
なお、同技術に関しては、最先端の画像認識技術を有するOKIと、ディープラーニングを用いた画像解析技術を有するLaboro.AI(ラボロ エーアイ)が共同で、システム操作時における感情推定アルゴリズム(機械学習モデル)の研究開発を進めていくということだ。
2018年度中には同技術の精度向上のため、PoC(Proof of Concept:概念実証)によるフィールド実験を行い、その結果を踏まえて、利用者の感情に合わせた高度なサービスの提供が可能な「感情推定による対話型システム」への適用を検証するという。そして、2020年度に向け、東京オリンピック・パラリンピックなどを含めた、さまざまな利用シーンに合わせて開発し、外国人や高齢者など多様な利用者が使用する公共系の情報システム市場やオフィスコミュニケーションシステム市場など、顧客接点における利用者の多様な要望や、少子高齢化による人手不足のため自動化ニーズなどの課題解決に向けて積極的に展開し、実用化を目指す。