パナソニックとパナソニック システムソリューションズ ジャパンは4月2日、ロボティクスと画像処理技術を活用したインフラ点検サービスSmart Image Sensingシリーズとして、「4K画像活用構造物点検サービス」と「インフラ設備撮影サービス」の2サービスの提供を開始した。

  • 「Smart Image Sensing」の概要

    「Smart Image Sensing」の概要

4K画像活用構造物点検サービスは主に橋梁などの点検に、インフラ設備撮影サービスは道路近接設備などの点検を支援するものとなる。

4K画像活用構造物点検サービスは、これまでの構造物点検の課題であった目視やセンサを使用する際の足場設置に伴う安全面やコスト面への改善が図れるという。

橋梁などの構造物に対し、4Kカメラで撮影を行い、振動の可視化や周波数解析、たわみ量解析などの結果データを提供するなど、構造物を効率的にかつ安全に計測。対象物の撮影に関する現場環境の下見から、カメラなどの計測機材の選定、撮影、解析、レポートまで一括してサービスを提供する。

  • 一括サービスのイメージ

    一括サービスのイメージ

主な特徴として「足場不要で安全な計測手法」「同時に複数個所の計測」「解析データ可視化」の3点を挙げている。安全な計測手法については、インフラ構造物の点検において、従来の方法では足場などを対象構造物に建設し、多くの人員と期間を要していたが、新サービスでは足場を必要としないカメラによる撮影により、人員の削減と期間短縮を図ることを可能としている。また、足場上での点検作業だけでなく、足場建設時における災害リスクも軽減されるメリットもあるという。

同時に複数カ所を計測することに関しては、従来の一般的な手法では対象構造物に加速度センサなどを直接設置する必要があったが、構造物の形状や構造から計測出来なかった部位でも画像解析技術により、多様な変位を計測することができる。加えて、同時に複数個所の計測においてもセンサを複数設置する必要がなくなり、撮影画像内の複数ポイントを同時に計測することを可能としている。

解析データの可視化では蓄積した4Kカメラ映像から、後ほど改めて別のポイントの解析も可能であり、点から面での計測を実現し、振動、周波数などを図示することにより結果を分かりやすくすることができるという。

  • 解析データ可視化のイメージ

    解析データ可視化のイメージ

インフラ設備撮影サービス

一方、インフラ設備撮影サービスは、停電の原因にもなる電柱上のカラスの営巣の点検など、高所・広範囲における目視点検作業を、車両などに取り付けたカメラでインフラ設備を自動で撮影し、位置情報と連携した画像管理を行うことで、点検の定量化による委託化や省力化を支援。

点検作業の安全面の改善に貢献し、用途や目的別に解像度や構成の異なるカメラを選択するなど、現場に適した撮影方法の提案を行うという。さらに「まずは、AI技術を試してみたい」「設備の異常を抽出してみたい」という顧客に向けて「お試しAIサービス」を提供する。

主な特徴は「インフラ設備の自動撮影による定量化」「点検時間の短縮」「お試しAIサービス」の3点。自動撮影による定量化では、従来は目視で行っていた点検作業を、車両などからの撮影画像で代替し、例えば車両移動を伴う点検の際に運転者と点検員の複数体制で実施していたが、撮影のみで実施できることにより点検員と分離した人員配置とスケジュールを組むことができるという。

これにより、巡視時の人員が半減できるとともに画像による定量的な点検の効率化が期待でき、高所や道路における台風や地震の後のスクリーニングにも貢献するとともに、撮影画像は地図上へマッピングすることで、地図上から設備画像を選択確認することを可能とし、蓄積された過去情報の検索閲覧もできる。

時間短縮については詳細点検業務における近接目視での点検や、日常的または巡視点検など、点検内容、用途に合わせたカメラ解像度での撮影を行うことで、点検時間の短縮に貢献するという。

お試しAIサービスは、蓄積した画像情報をもとに、AIを活用することによる物体検知や異常抽出を試せる。抽出された結果をベースに評価し、要望に応じて、抽出に関わるチューニングを実施。AIによる抽出精度が高くなることで、対象物の確認時間を半減或いはそれ以下にすることも期待できるとしている。

  • お試しAIサービスの流れ

    お試しAIサービスの流れ