大日本印刷(DNP)は、同グループのインテリジェント ウェイブ(IWI)と共同で、AI(人工知能)を活用して、生活者が発した自然な会話の中から質問の言葉を分析し、その意図に沿った情報を選択して表示するデジタルサイネージ(電子看板)システムを開発したことを発表した。
駅や観光施設などでデジタルサイネージを活用した情報提供が増える中、利用者の発した質問に応じて適切な情報を提供する、対話型のデジタルサイネージシステムが求められている。しかし、データベースを構築・更新する費用と手間が膨大となることや、スマートスピーカーなどを活用した音声応答では会話の中から質問を抽出しにくいといった課題がある。
そこで今回、DNPとIWIはこれらの課題を解決するため、Webや書籍などから情報を抽出し自動でコンテンツを生成するDNPのAI技術、口語や話し言葉のような自然言語をAI技術で適切に処理するIWI独自のソフトウエア「OpAI(オーピーエーアイ)」を活用し、デジタルサイネージシステムを開発した。これは、人間が話す言葉から質問内容を理解し、回答データから最適なものを生成・検索するシステムと、市販のスマートスピーカー、デジタルサイネージを連携させたシステムとなっている。
画像や文字の認識および自然言語処理を活用した情報構造化技術を用い、Webサイトやマニュアルなどの多くの情報から、質問への応答に必要な情報を短時間に高精度で生成し、その生成したデータを蓄積する。
また、IWIが提供するOpAIにより、話し言葉のような曖昧な会話文から質問内容を適切に理解し、最適な情報を検索・抽出。その抽出された情報から、デジタルサイネージの画面や音声での回答をAIが自動生成。利用者はテキスト・画像・音声・映像の組み合わせで、最適な回答を得ることができる。
今後、DNPとIWIは、同システムの事業化に向けたコンセプト実証(PoC:Proof of Concept)を実施し、その効果測定をもとに改良をすすめ、2018年度中の事業化を目指すとしている。
なお、4月4日〜6日に東京ビッグサイトで開催される「第2回 AI・人工知能 EXPO」のIWIブースでは、同システムを活用したデモンストレーションが展示される。