米Microsoftは3月29日 (現地時間)、2014年以来となる大規模な組織再編を発表した。前回はSatya Nadella氏がCEOに就任してから標榜した「モバイルファースト、クラウドファースト」戦略に沿ったものだった。モバイルやクラウドが普遍化したことを踏まえ、新たな戦略として掲げる「インテリジェントクラウドとインテリジェントエッジ」に向けた再編に踏み切った。

Nadella氏が30日に公開した社員向けのメッセージの中で、同氏はWindows事業を率いるTerry Myerson氏が「自身の新たな目標を追求するため」にMicrosoftを退社することを明らかにした。Myerson氏は2013年にWindows開発チームの責任者に就任、Windows 10への移行を成功に導き、Windows and Devices Group (WDG)を統括してきた。

  • Terry Myerson氏

    Microsoftを離れるTerry Myerson氏

新たな組織構成では、新たに2つの柱となる事業部門が設けられ、それらにWDGが組み込まれる。

1つは「Cloud + AI Platform」事業で、Cloud and Enterprise Groupを率いてきたScott Guthrie氏が統括する。そしてJason Zander氏が「Azure」部門を率いる。クラウドとエッジ、両方においてWindowsプラットフォームがコアの役割を果たしていることから、Windowsプラットフォーム・チームがZander氏のチームに加わる。その他、「ビジネスAI」、「Universal Store and Commerce Platform」、「AI Perception & Mixed Reality (複合現実)」、「AI Cognitive Services & Platform」などで構成される。

もう1つは、Rajesh Jha氏が統括する「Experiences & Devices」事業だ。一貫した体験の実現とデバイス開発に取り組む。Joe Belfiore氏が率いるチームが、引き続きコンシューマやビジネス向けのWindows、Windowsを中心としたPCや他のデバイスのエコシステムを担当。また、Panos Panay氏がチーフプロダクトオフィサーに就任して「Devices」部門を率いる。他には、Kudo Tsunoda氏が統括する「New Experiences and Technology」、「Enterprise Mobility and Management」を含む。

そして、第3のエンジニアリングチームとして、Harry Shum氏が引き続き「AI + Research」部門を率いる。

システム開発に関する経験則の1つに、組織の構造が設計に反映される「コンウェイの法則」がある。メッセージの中でNadella氏は、「我々の取り組みから大きなインパクトを生み出すには、我々自身がコンウェイの法則を超えなければならない」と述べている。

  • Satya Nadella氏

    Microsoft CEOのSatya Nadella氏