東北大学は3月22日、蚊が餌を飲み込む際に、吸血のように連続的に飲み込む時と、針内に詰まりがあったりや粘り気の強い花蜜を力強く飲み込む時と、2つのポンプを巧みに使い分けていることを発見したと発表した。

同成果は、東北大学大学院工学研究科の菊地謙次 准教授、米国バージニア工科大学のMark A.Stremler 教授、米国バージニア工科大学のSouvick Chatterjee ポスドク、米国ブルックヘブン国立研究所のWah-Keat Lee 主任研究員、東洋大学の望月修 教授、米国バージニア工科大学のJohn J.Socha 准教授らの研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Scientific Reports」に掲載された。

  • 頭部のポンプを大きく広げてゴックンと飲み込む瞬間を捉えた画像(黄色部が拡張されたポンプ) (出所:東北大学Webサイト)

今回研究グループは、シンクロトロン放射光を利用してX線位相コントラスト顕微鏡を構築し、蚊の頭部を透視することで、内部のポンプ運動の可視化に成功した。そして、実験と理論解析により、ポンプの飲み込むモードによって吸い込み圧力を制御していることを明らかにした。

こうした蚊は、普段交互に動かしているポンプを、吸引力を上げたいときに同時にポンプを動かして、のどの詰まりや粘り気のある餌を効率的に飲み込み過酷な生態環境を生き延びてきたと考えられるという。

なお、今回の成果を受けて研究グループは、同成果は連結した微小のポンプによる巧みな吸引方法を明らかにし、将来的には、マイクロスケールの流体駆動デバイスの設計などに役立つと期待されるとしている。