東京農業大学(東京農大)と日立キャピタルのグループ会社である日立トリプルウィンは、両者の産学連携に基づく取り組みの一環として、群馬県利根郡川場村において、サクラ化学工業が製造する新素材の炭素繊維強化プラスチック(CFRP)を活用した、太陽光型植物工場(農業用ハウス)を設置し、2018年4月末より耐雪性・鳥獣被害対策を検証する実証実験を開始することを発表した。
CFRP農業用ハウスは、一般的な部材と比べて軽量かつ鉄の約10倍に値する強度を持つ CFRPを活用するため、工事期間が短縮され工事費の削減が可能となる。
東京農大は、高い耐候性を有する同ハウスを設置し、冬季3シーズンにわたって同ハウスの管理および検証を行い、川場村がこれま で課題としていた積雪や暴風雨によるハウスの倒壊、野生鳥獣による農作物被害といった課題を解決するための研究データを蓄積していくという。
一方、日立キャピタルグループは、これまで展開してきた農業分野での約7万3000件の取引顧客基盤を活用し、日立トリプルウィンが全国の農業生産者に同ハウスの拡販を行う。また、将来的には農作物の栽培に適さない厳しい自然環境の地域でも、農業生産を可能にする次世代農業設備として、海外での販売展開も検討していくという。
また、両者は、国内外での食・農分野の発展に貢献することを目的とする産学連携協定を2016年6月に締結している。2017年8月には、農業生産工程管理の国際認証規格 であるグローバル GAP(Good Agricultural Practice)認証取得に向けて協業。東京農大が日本の農学系私立大学で初めて取得し、日立トリプルウィンが同月よりグローバル GAP認証の取得をめざす農業生産者へのコンサルティングサービスを開始している。
なお、両者は3月24日、川場村にてこの実証実験に関する協定書の調印式を開催した。今後も産学連携に基づく取り組みを推進し、両者が有する人的資源や国際的なネットワークなどを相互に活用することにより、日本およびグローバルでの食・農関連産業の発展に貢献していくということだ。