Facebookユーザーのデータ不正利用問題などプライバシーとデータ利用についてFacebookは、不正使用の影響を受けた利用者への通知、Facebookのログインデータの制限など対策を表明している。当然、承諾の必要性は論をまたない一方で"一対多"の契約で生じる細かな約款契約における意思認定の難しさは紙の時代から継続するものだが、ユーザーの代わりにプライバシーポリシーを読むAIを英セキュリティベンダーSophosのオウンドメディアnakede securityが紹介している。

寄稿者の Lisa Vaas氏が紹介するのが難解なプライバシーポリシーを機械学習でビジュアル化するAI「Polisis」の挑戦。実際98%の人が読んでいないという調査結果を引き合いに出している。オンラインプライバシーポリシーはやたらと長いので、平均的な人が1年に訪問する全てのWebサイトのプライバシーポリシーを読もうとすると、作業時間にして250時間、30日が必要、という分析もあるそうだ。実際に、自分が使っているWebサービスの約款を詳細に読んだ記憶を思い起こせば、このデータがあたっているであろうことは容易に想像できてしまう。

2月に立ち上がったプロジェクト「Polisis」はAIを利用して、プライバシーポリシーをビジュアル化し、簡単に理解できるようにしようというものだ。機械学習を使ってオンラインのプライバシーポリシーを分析し、カラフルなフローチャートを作成する。ユーザーはどの種類の情報を収集しているのか、意図は何か、どんな選択肢があるのかと進めて行くことができるという。

  • 「Polisis」による解析(Sophos Naked Securityより)

    「Polisis」による解析(Sophos Naked Securityより)

Polisisは簡単にナビゲートできるチャートを作成する。そのサイトがどのような情報を収集し、ユーザーにどんな選択肢があるのかが分かる。これは既存のプライバシーポリシーの置き換えを狙っているのではなく、研究者、消費者、規制当局は面倒な解読作業を軽減し理解しやすくすることに目的があるとその意図をLisa Vaas氏は強調している。Polisisを開発した一人、スイス連邦工科大学ローザンヌ校(EPFL)で研究するHamza Harkous氏はボットのトレーニングにあたって、 Google Play Storeにある全てのポリシーを取得、その数は13万件にのぼっている。将来的には、このようにビジュアル化することでプライバシーポリシーの難解な法律用語の壁を取り崩すことになればとHarkous氏は語っているという。日本の法律も難しい用語が並ぶが、ITの力でできる限り個々の意思に合致した契約が求められていくことになる。