日本ユニシスと日本マイクロソフト(日本MS)は3月24日、日本ユニシスのオープン勘定系システム「BankVision」の稼働基盤として、マイクロソフトのパブリッククラウドプラットフォーム「Microsoft Azure」の採用に向けた共同プロジェクトを4月から開始すると発表した。
日本ユニシスは、2007年にWindows Server SQL Serverを基盤としたオープン勘定系システムのBankVisionを稼働開始。昨今では、クラウドサービスが急速に市場に浸透する中、日本ユニシスは2016年度から日本MSと共同でMicrosoft Azure(IaaS)上でのBankVisionの検証を進めてきた。
今回、米マイクロソフトのAzureエンジニアリング部門との連携や、国内データセンター利用の体制などが整備されたことにより、BankVisionの基盤としてMicrosoft Azureの採用に向けた共同プロジェクトを開始する。
BankVisionが目指す新たなコンセプトとしては「戦略的投資機会を生み出すシステム」「新時代の金融サービス向けプラットフォーム」の2点。
実現に向けては「コアバンキングシステムをパブリッククラウド上で実装」「オープンAPI対応によるインタフェースの提供」「サービス単位で機能をモジュール化し、金融サービスの構造変化に応じた戦略を機能の選択で実現」の3点に取り組む。
コアバンキングシステムをパブリッククラウド上で実装することに関しては、Azureの活用で固定的なIT費用を適正化し、守りを固めながらも競争力強化のための戦略投資を支援するという。
オープンAPI対応によるインタフェースの提供では、オープンAPI公開基盤「Resonatex」との連携により、多様なサービスとシームレスに接続し、未来のプラットフォームとして金融サービスの高度化・多様化を支援するとしている。
金融サービスの構造変化に応じた戦略を機能の選択で実現する点については、BankVisionのコア化(あらゆるサービスのAPI化、シンプル化、媒体レス)を進め、銀行共通の機能をシンプルで強固な構造に集約することで、店舗型やサービス限定型など、さまざまな業態に必要十分な機能を提供し、今後の業態変化・経営基盤の変化を支えるという。
同プロジェクトでは、4月以降に(1)フルバンキングシステムなどのミッションクリティカルシステムに求められるサポートレベルに基づくサービス内容(レベルや体制)の検討、(2)Microsoft Azureの新規リリース機能の確認およびテスト、(3)2016年度からの稼働検証において明らかになった技術的課題への対策の検討、(4)Microsoft Azure上のデータとサービスを利用したデータ活用・分析などの新サービスの検討を実施する。
今後、今回のプロジェクトを通じて、BankVisionを利用する銀行の基盤更改時期などに、順次Azure化の提案を進めていく。また、BankVisionのコア化(あらゆるサービスをAPI化、シンプル化、媒体レス)をはじめ、DevOps、オペレーションレスなどの開発・保守・運用の効率化を継続して進めるとともに、クラウド利用のメリットを最大化すべく、SQL DatabaseなどのPaaS(Platform as a Service)活用を進めるという。
さらに、BankVision on AzureやResonatexを活用し、銀行機能を異業種やFintechなどにサービス提供するBaaS(Bank as a Service)について、BankVision利用行の協力を得つつ、事業化の検討を進め、金融機関の新たな収益機会の創出や、業種・業態の垣根を超えたビジネスエコシステムによる新たな価値創造を目指す。なお、フルバンキングシステムのパブリッククラウド環境での実装は国内初の事例となる。