インテルは3月22日、同社のドローン事業に関する記者説明会を実施、その中で産業用ドローンソリューションを日本国内において、1カ月以内に展開する予定であることを発表した。
ドローンはデータ産業の要
冒頭、3Dマップの撮影を例に、ドローンの生み出すデータ量を解説。行う際には、30MBの画像ファイルを1台あたり500枚撮ることになる。このような用途で75台のドローンを稼働させることで生み出されるデータ量は18TBとなる。現段階で同社がドローン飛行により生成しているデータ量は膨大なものとなっており、今後は搭載するカメラの高解像度化を予定していることから、よりデータ量は膨らんでいくことが想定される。
会見でプレゼンテーションを行ったインテル コーポレーション ドローン事業部 マーケティング責任者 シンディー・ウン氏は、インテルが半導体メーカーからデータを中心に扱う企業に転換する中で、非常に大きなデータを生成可能なドローンはきわめて重要な役割を担うと語った。
インテルの商用ドローンは、マルチコプターの「インテル FALCON 8+」と、固定翼で広域カバー向けの「インテル SIRIUS PRO」の2種。フライト計画の自動生成ソフト「インテル MISSION CONTROL」も提供する。
ドローン活用事例として、遊園地におけるライドや太陽光パネルなどの無人検査、農作物の数のカウント、水やりの必要性の確認、害虫や病害の検知といった農業分野の活用を例示。また、風の影響が強い場所にある石油施設の検査において、「インテル FALCON 8+」は強風に耐えることから活用されているという。
すでに米国・カナダでは認可が下りている同社のドローンだが、日本国内でも最終テストフェーズに入っており、日本においても「ファルコン8+については、1か月以内に承認いただけるだろう」と語った。国内販売価格は明言されなかったが、参考として公開された米国における販売価格は2万5000ドル(約264万円)。
本体だけでなく、同社はドローン活用のためのソリューションを複数提供している。「インテル Realsense Depth Module」を搭載したことによる障害物回避機能は、日本での産業用ドローンの提供ローンチ時にあわせて提供する想定。「インテル INSIGT PLATFORM」は、ドローンからクラウドにデータをアップロードし、組織内でデータ共有・分析できるものだ。その活用事例として、ドイツで行われたハルバーシュタット大聖堂保全プロジェクトにおいて、撮影データから詳細な3Dモデルを生成し、保守が必要な部分の確認が行えることを示した。
ドローンのライトショー、東京五輪でも実施
インテルはここまで語られてきた産業用ドローンだけでなく、ドローンによる光の花火のような演出を見せる「ライトショー」を行うためのドローンを提供しており、直近では平昌五輪の開会式・閉会式における演出に参加した。2015年のローンチ当初、一度に飛行させられるドローンは100台だったが、今回の平昌五輪では1,018機にまで台数が増加している。
こうした屋外でのショーに用いる「インテル SOOTING STAR ドローン」に加え、2018年のCESで発表された屋内向けの小型機「インテル SOOTING MINI STAR ドローン」で、カンファレンスルームやコンサートホール、スポーツアリーナといったGPSでのコントロールが行えない場でもショー展開を行うことで、活用の場を広げ、エンタメ分野での商用ドローンとしての可能性を探っていく。東京五輪でもライトショーを行う予定であることを明かし、「平昌で行ったことよりも、さらに新しいことに挑戦したい」と語った。
ドローン事業における最も重要な担保すべき性能として「安全性」であるとしたウン氏は、人がいるエリアの上での航行は行わないと繰り返した。特にライトショー向けのドローンにおいて、観客エリア外での航行となると飛行エリアは限られる。ホール内での航行であれば屋外に比べ飛行領域が狭くなることが予想されるが、CES2018で行われたデモのような、ロケーションとの融合をはかる演出は魅力的だ。東京五輪を前に、効果的な事例が見られることを期待したい。