3月6日から9日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された日経メッセ。今回は、「リテールテックJAPAN」会場内より多数の来場者が足を運んでいたデンソーウェーブブースの様子をお届けしよう。
「Capture Smart Stores」をコンセプトとして、小売・流通業界の“お困りごと”を解決するソリューションや、一歩先に進み「スマートな店舗」づくり・運営を提案していたデンソーウェーブブース。来場者より熱い視線を集めていたのが、同社が特許を所有しているQRコードを用いたソリューションだ。
ブース内では、ユーザーがスマートデバイスでQRコードを読み取るだけで例えば喫茶店等の利便性向上を目的として提供しているWi-Fiに接続することが可能な「QR Wi-Fi」を作成できるソリューションや、顔認証に必要な特徴点や情報をQRコード化して屋外等のオフライン環境下でも認証対象人物の照合が行えるもの、QRコードを用いてキャッシュレス決済が行えるソリューションなどが注目を集めていた。
なかでも筆者が興味を惹かれたのは、QRコードを用いて決済も可能になるという新しいショッピングスタイルを目指したAIアシスト端末だ。ブース内で行われていたデモンストレーションでは、運用イメージとしてショッピングモールのフードコートを想定。店舗の検索や待ち時間の表示等が行えるほか、顔認証やQRコードによるキャッシュレス決済を実現していた。その他にも、例えば店舗独自で運営しているポイントサービスとの連携も可能となっており、スマートかつ利便性の高い新たなショッピング体験を提供することを可能としていた。
デンソーウェーブブースでは、その他にもRFIDを用いたソリューションが展示されていた。確実に1点のみ読み取れるポケットRFIDスキャナによって接客途中での在庫確認をスピーディに行えるものや、ショッピングカートに入れられた商品をRFIDで読み取り、関連商品をレコメンドするといったものが注目を集めていた。
また、面白い取り組みとして、超音波ビーコンを採用し測位誤差1m以内を実現したという屋内位置情報サービスが展示されていた。長年自動車のナビゲーションシステムを開発してきたノウハウを活かし、GPSが届かない屋内でも正確なナビゲーションを可能としており、従来の屋内位置測位システムと比較して比較的安価に高い精度でのナビゲーションが実現できるという。測位精度の高さによって、ユーザーに対してピンポイントかつ的確な情報を提供することができるこのシステム、例えば、美術館で作品の前に立つとその作品の解説が表示される、スーパーで売場のゾーニングに応じて売場のお買い得商品をレコメンドするなど、様々なシーンでの利活用が期待される。
既存の技術と新たなアイディアを織り交ぜ、小売・流通業界の“お困りごと”解決ソリューションを展開していたデンソーウェーブ。今後どのような進化を見せてくれるのか、その動向に注目したい。