新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、スカパーJSAT、情報通信研究機構(NICT)は、3月2日に愛知県愛西市の木曽川河川域とその上空で、ドローンと有人ヘリコプターの間でそれぞれの位置や高度、進行方向、識別番号などの情報を1秒ごとに相互に共有する、機体間通信実験を実施したことを発表した。
この実験では、NICTが開発したドローン位置情報共有システム「ドローンマッパー」を用いて920MHz帯(LPWA方式)で通信を行った。
通信装置を搭載したヘリコプター(中日本航空所属)が、愛西市の木曽川高畑地区河川防災ステーションのヘリポートを離着陸場として木曽川上空(片道約9km)を対地高度約150mで往復飛行し、地上に設置したモニター局で同じく通信装置を搭載したドローン(テラドローン提供)と有人ヘリコプターの位置情報を表示するとともに、ヘリ機上のタブレット画面にもドローンの位置情報を表示させることができた。
この結果から、高高度無人航空機とドローンの間の通信手段としても利用可能であり、また、ドローンのみでなく有人機も含めて飛行中の位置や識別番号などの情報を把握し、運航状況を管理できることが確認できたという。
同事業では、高度2000m以上を飛行する高高度無人航空機を介して広域に飛行するドローンに対し運航管理を行うシステムの開発を目指しているが、ドローンと高高度無人航空機の間の通信距離は10km以上に及ぶことも想定される。
今後、この実験で得られた知見を、無人航空機搭載用無線機器の設計と高高度無人航空機への搭載方法、および運航管理システム機能に反映していく予定だという。これらの取り組みを通じて、災害現場や地上通信設備が未整備な地帯でも、ドローンの目視外飛行を可能とする運航管理システムの実現とともに、新たな利用領域の開拓とマーケットの拡大を目指すとしている。