就職活動の一環である企業訪問を、VRで行える。そんなコンテンツが、大学生向けのカフェ「知るカフェ」に導入されている。
このVRコンテンツでは、企業ごとに撮影した映像を、ヘッドマウントディスプレイ(Gear VR)で閲覧する。現在はソフトバンク、エム・システム技研、リゾートトラスト、豊田ハイシステムといった4社のコンテンツが収録されており、360度動画で見ることができる。
同コンテンツは、業務アプリ開発の豊田ハイシステムがヒアリングとシナリオ撮影、昨今VRコンテンツの展開も行っているゲーム開発のグリーが撮影・編集を行って制作した。コンテンツ内では、オフィス見学時に見ることが難しい休憩スペースや寮の内部などを撮影したものもあり、学生の企業研究ニーズを満たすような情報も含まれていた。
コンテンツの展示の場となっている「知るカフェ」は、企業スポンサーの提供により、大学生が無料でドリンクを飲んで利用できる。コンテンツの設置は国内の知るカフェ14店舗で行われている(大学キャンパス内、銀行併設店舗は除く)。2017年からVRコンテンツの設置は行っており、今年で2年目の試みとなる。
知るカフェを運営するエンリッションの生雲勝之氏は、同店舗にVRを設置する意図について、「都内であればまだしも、地方の知るカフェを利用する学生は、東京のオフィスを気軽には見られない。知るカフェで遠く離れた場所にあるオフィスを体感し、新たな選択肢を『知る』機会となっている」と語った。また、現在コンテンツを掲載しているリゾートトラストは、愛知県名古屋市を拠点として国内外48か所でホテルを展開している。都心の学生にとっても、地方の企業を知る接点となりそうだ。
VRコンテンツの閲覧は、閲覧する学生自身が操作して行う。ヘッドマウントディスプレイの扱い方などは知るカフェの店員に講習を行っており、利用者からの質問に対応可能なため、専用スタッフの増員はなく運用できているという。また、豊田ハイシステムの大沢岳人氏は、閲覧端末としてGear VRを選択したのは、可搬性だけでなく、利用者自身が慣れ親しんだスマートフォンを用いており、かつ解像度や端末の面でハイエンドであると判断したからだと語っていた。
なお、VRコンテンツ費用は1本あたり100万円~。年間目標として、豊田ハイシステムではVRコンテンツ掲載企業を30社まで伸ばしたいとしている。