NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、日本総合住生活(JS)、リコーリースの3社は3月19日、IoTを活用した集合住宅の効率的な管理方法の確立に向けた実証実験を開始した。
現在、日本では主に人口減少などに起因する空き家の急増に伴い、換気・通水・清掃作業や防犯対策などの空き家管理に係る負担が深刻化しており、JSとリコーリースは集合住宅における「建物の再生」および「コミュニティの活性化」などを目的に2017年8月に業務提携した。
今回、業務提携の一環としてこれらの課題解決を図るべく、従来の人手を中心とする空き家管理に替わる、IoT技術を利用した効率的な管理方法に着目。
そこで、集合住宅管理における技術・ノウハウ・体制に強みを持つJSと、金融サービス・不動産関連の知見やネットワークに強みを持つリコーリースに、IoT Platformの構築・運用ノウハウを保有するNTT Comを加えた3社が協力し、IoT技術を活用した集合住宅における効率的な管理運用・防犯強化方法の確立に向けた実証実験を行うことを決定した。
実証実験では、集合住宅の玄関ドアに「EnOcean」(国際標準無線通信規格の1つ)センサを設置し、IoT Platform「Things Cloud」に、空き家管理に必要な入退室データを収集・蓄積。
これらのデータと既存データ(住所・部屋番号など)を一括で管理し、金融・不動産関連の知見を付加してデータを加工・分析することにより、IoTを活用した空き家の効率的な管理運用方法や、安心・安全・快適な生活環境の実現に向けた防犯強化対策のビジネスにおける有用性を検証する。
期間は3月19日から2018年6月末まで、主な検証項目は玄関ドアにおけるEnOceanセンサの適切な設置位置・給電位置、IoT-GW(センサから送られるデータを受信・加工し、IoTプラットフォームにデータを送信する機能を具備したIoT環境の構築には必須の機器)の適切な設置位置、配線および給電方法、玄関ドアの開閉データの収集精度、今回の取り組みに必要な価格の妥当性など。
各社の主な役割としては、JSが実証実験を行う集合住宅の整備と提供、リコーリースが集合住宅の既存データ(住所・部屋番号など)と、収集した空き家の入退室データを一括管理、金融・不動産関連の知見を付加したデータ分析を通じて、集合住宅の効率的な管理運用方法・防犯対策のビジネスにおける有用性を検証する。
NTT ComはEnOceanセンサ、IoTプラットフォーム、通信事業者としての保守/運用ノウハウなどを提供し、データ分析および収集精度向上対策を実施する。
今後、3社は子育て・高齢者・単身者・外国人など、さまざまな世帯が安心かつ快適に過ごせる居住空間の実現を目指し、集合住宅の入退室データに加え、収集するデータ範囲を電気・ガス・水道の利用状況や、建物の経年度合などへ拡大することで、今後もIoT技術を活用した集合住宅の効率的な管理を実現するサービスや管理方法の開発・検討に取り組む考えだ。