IDC Japanは3月19日、パブリッククラウドと企業拠点/データセンターを接続する目的で導入されるWAN(Wide Area Network)サービス(パブリッククラウド接続用途WANサービス)の市場予測を発表した。
調査によると、2017年も2016年に引き続き、パブリッククラウド接続用途WANサービスの市場規模が急速に拡大していることが判明したという。現在、企業のパブリッククラウド利用が急速に拡大している影響で、パブリッククラウド接続用途WANサービスの市場規模も、2017年の市場規模が前年比成長率56.8%の約84億円と拡大している。
通信事業者は、自社のWANサービスからパブリッククラウドへのプライベート接続用ゲートウェイ(AWS Direct ConnectやMicrosoft Azure ExpressRouteなど)に閉域接続するオプションサービスを提供しており、企業が上記の通信事業者のWANサービスやゲートウェイを利用し、複数の企業拠点からパブリッククラウドに接続するケースも増加しているという。
今後、パブリッククラウド接続用途WANサービス市場は、2017年~2022年の年間平均成長率20.8%と急成長が見込まれ、2022年の市場規模は約215億円になると予測。
2016年時点では、一般企業のパブリッククラウドの利用用途は企業のWebサイトなどミッションクリティカルでない用途が大半だったものの、2017年には基幹システムをパブリッククラウドに移行するケースも見られるようになり、これに伴い広帯域かつ高い安定性を持つ高品質な接続回線の導入が増加しはじめているという。
企業が社内に置いていたアプリケーションをパブリッククラウドに移行する動きが拡大するにつれて、WANのトラフィックは増加。また、通信コストの抑制、レスポンスタイムの短縮、セキュリティやガバナンスの向上などの新たな取り組みが必要になるとしている。
同社のコミュニケーションズ リサーチマネージャーである小野 陽子氏は「企業は、重要なアプリケーションをパブリッククラウドに移すタイミングで、WANを見直すべきである」とコメントしている。