奈良県境に位置する京都府木津川市。5分歩けばもう奈良県という静かな住宅街に「土師山公園」がある。子どもたちがボール遊びをしていたり、愛犬の散歩ルートに使われていたりと、一見、どこにでもある"地域の公園"といった印象だ。しかし、この公園には秘密があった。設置されている街灯が「スマート化」されているのである。
2017年6月1日、シスコシステムズと晶和クリエイションは共同で、木津川市において「街灯スマート化モデル実証事業」を開始した。歩道・公園など計23台の街灯をネットワークLED化し、電力使用量を削減するとともに、点灯時間や照度などを通行量や時間帯に応じて遠隔操作で調整するという内容だ。
現代では、深夜でも外を出歩く人は少なくない。そのため、防犯上の観点から人通りの少ない深夜帯でも街灯は点灯させておく必要がある。しかし、深夜に100%の明るさで煌々と公園を照らし続けることは、電気の無駄遣いと言わざるを得ないだろう。
防犯対策のため明かりを灯す。そして、無駄な電気代を使わない。どちらも行わなければならないのが、スマート化の難しいところだ。考えられる解決策は、人が通るときだけ街灯を灯すか、時間帯に応じて明るさを調節するかのどちらか。同実験では、まず街灯のポールに人感センサーを取り付けて人がいるときのみ点灯させるという取り組みを行った。しかし、深夜に突然ライトが光ると、近隣住民は「何事か」と身構えてしまうため、人感センサーを使ったオン/オフの切り替え機能を停止して、時間帯に応じて調光を行う設定に変更したという。現在は、深夜1時から翌朝5時までは20%程度の明るさでライトが点灯するように設定されている。
実験は2017年9月末まで行われたが、水銀灯と比較して、なんと75%の電気代削減に成功。LEDにするだけでも大幅な削減ができるが、適切な調光によって、より効果を高めることができたという。