台湾の市場調査企業TrendForceのメモリ調査部門であるDRAMeXchangeは3月12日、2018年第1四半期は季節的に閑散期であるため、SSD市場はPC OEMからの受注が、前四半期に比べて少なく、その結果、SSDサプライヤがSSDの値下げを進め、PC OEMが64/72層3D NANDフラッシュメモリを採用した製品を採用することを促そうとしているとの予測を公表した。
2018年第1四半期、PC OEMへ納入されるメインストリームのクライアント向けSSDの平均契約価格は、前四半期比で3~5%(SATA-SSDの場合)あるいは4~6%(PCIe-SSD)ほど下落するとの予測で、これによりこれまで継続して続いてきたNANDとSSDの価格上昇が終焉を迎えたことが示唆されたという。
また同社では、2018年第2四半期には、SSDサプライヤは64/72層の3D NANDの生産能力を拡大するとの見方を示しているが、需要の伸びは依然として弱く、やや供給過剰状態になりそうであるともしており、引き続き、メインストリームのSSD製品の契約価格は下落傾向が続くのではないかとしている。
SSDの主流容量は256GBクラスに
DRAMeXchangeの調査ディレクターであるAlan Chen氏は、「PC OEMは2017年、SSDの価格高騰により、当初の購入計画よりも抑える動きを見せた。その結果、2017年のノートPCへのSSDの平均採用率は、当初の予想よりも低い45%であったが、SSDの価格が下落することが見込まれる2018年には50%を超えると予測される」と述べている。また同氏は、SSDの契約価格の低下は、PC OEM市場におけるSSD容量の主流を256GBにまで押し上げる可能性があるとする一方で、512GBが主流になるには、価格がこなれてくる2019年もしくは2020年まで待つ必要があるともしている。
一方、SATAではなく、より高速なPCIeのSSDも存在するが、SATAよりも価格が高くなりがちであり、2017年の普及率は30%程度に留まったという。しかし、NAND価格の下落が進めば、2018年にはPCIe SSDの普及率が上昇し、50%に達する可能性もあるとしている。
2018年後半に量産見込みの3D-QLC
韓SK Hynix、米Western Digital/東芝、米Micron Technology、IntelといったNANDサプライヤ各社は、2018年第1四半期以降、64/72層製品の量産を進めているため、クライアントSSD市場における3D-TLCアーキテクチャの普及率は、2018年中にも70%に達する可能性があるという。
また、こうしたNANDサプライヤ各社は、長期的な視点で、3D-QLC技術の開発を進めており、これが量産化されれば、より競争力のあるコストを実現しつつ1チップあたりの高容量化を実現できるようになる。TrendForceでは、早ければ2018年後半に大量生産に移行するメーカーが出てくる可能性があるとしており、同技術が成熟すれば、SSDの費用対効果がさらに引き上げられ、HDD代替が加速していくことになるだろうとしている。
なお、Intelは、2017年より3D Xpoint SSD製品をPC OEM市場に向けて出荷を開始したが、現状、これらの製品は費用対効果が低いことから、ハイエンドのビジネス市場とゲームPC市場で受け入れられるに留まっている。そのため、今後、その普及率が上昇するかどうかについては、同社が今後、どのような価格戦略を打ち出してくるかによるところが大きいという。