理化学研究所(理研)は、マウスを用いて、脈絡叢が中枢時計を司る視交叉上核よりも堅固な概日リズムを刻むことを発見したと発表した。

同成果は、理研脳科学総合研究センター精神生物学研究チームの内匠透 シニアチームリーダーらの国際共同研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Nature Communications」に掲載された

概日リズムはほぼすべての生物に存在する基本的生命現象であり、ヒトを含む哺乳類においては、さまざまな生理機能を制御している。哺乳類の時計中枢は、視交叉上核と呼ばれる脳内視床下部に存在する神経核であることが知られている。

今回の研究では、リズムレポーターマウスの脳における概日リズムを体系的に調べることにより、脈絡叢が中枢時計よりも堅固な概日リズムを刻むことを発見した。

また、組織培養系や遺伝子組換えマウスを用いた実験により、脈絡叢時計は脳脊髄液の循環を介して中枢時計に作用し、概日行動リズムを制御していることが明らかになったという。

中枢時計である視交叉上核時計よりも堅固な生物時計が脈絡叢に存在するという発見だけでなく、ギャップ結合を制御する薬剤などにより、中枢時計を介して概日リズムを操作できる可能性を示すと研究グループは説明している。

なお、今回の成果を受けて研究グループは、今後の展開について、最近注目されている睡眠の意義との関連も期待できるとしている。