車いすの物理学者として知られる英ケンブリッジ大教授のスティーブン・ホーキング博士が死去したことを3月14日付けで英BBCや米ABC7などの複数の海外メディアが報じた。76歳だった。
1942年生まれの同氏は、オックスフォード大学やケンブリッジ大学で数学や物理学を学ぶ一方、大学院生時代の1963年(21歳)に筋肉の萎縮や筋力の衰えが徐々に進行していく神経変成疾患である「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」と診断され、車いす生活となった。その一方で、精力的に研究を行い、ブラックホールに関する論文などを発表してきた。特に1974年に発表されたブラックホールは時間を経るごとに小さくなっていき、最後には蒸発して消滅するという理論は「ホーキング放射(Hawking radiation)」とも呼ばれるなど、後の宇宙に関する研究の進展に大きく貢献した。
また、複数の著作を執筆しており、中でも1988年に出版された「ホーキング、宇宙を語る(邦題)」(日本語版は1989年出版)は、世界的なベストセラーとなったことでも知られる。
近年も、地球外の知的生命体を探査する団体「ブレイクスルー・イニシアティブ」(Breakthrough Initiatives)の設立に関与し、アルファ・ケンタウリへ探査機を送る「ブレイクスルー・スターショット」(Breakthrough Starshot)という計画を発表したり、人工知能(AI)の研究が進展することでの人間に対する脅威になる可能性があることなど、さまざまな活動を行っていた。