STマイクロエレクトロニクス(以下、ST)とオーディオ・メーカーのUSoundは、スペイン・バルセロナにて開催されたMobile World Congress 2018において、小型のMEMSマイクロ・スピーカを搭載した没入型の3Dサウンド・ヘッドホンのデモを実施したことを発表した。
今回のデモでは、超小型・薄型MEMSマイクロ・スピーカを14個搭載し、リアルな3D音響を作り出すオーバー・イヤー型ヘッドホンの展示を行った。これらのMEMSマイクロ・スピーカが作り出す前後左右のあらゆる方向の音響により、拡張現実(AR)/仮想現実(VR)を実現できるため、映像によるAR/VRの世界を拡張して豊かで没入感の高いユーザ体験を可能にし、広い帯域幅と高品質の重低音により非常にリアルな音を再現するという。
また、独自の高精度・圧電アクチュエータを内蔵するUSoundのMEMSマイクロ・スピーカは、小型、低消費電力、低熱損失、そして非常に高い音質を実現する。オーディオ機器メーカーはこうした特性を活用し、リアルな音響環境を正確に再現するハードウェア・ベースのウェアラブル3Dオーディオ機器を開発することが可能となっている。
STの圧電トランスデューサ技術(PεTra)とMEMS(微小電気機械システム)製造プロセスは、このようなMEMSマイクロ・スピーカを厳しい開発日程の中で製品化、 量産化するための重要な技術であり、従来のMEMSおよびCMOS(相補型金属酸化膜半導体)チップ製造工程に近似した実績ある技術を活用している。このアクチュエータは非常に小型で高い信頼性を有していると共に、低コストで量産することができる。
STのバイスプレジデント兼MEMSマイクロアクチュエータ事業部ジェネラル・マネージャであるAnton Hofmeister氏は、次のようにコメントしている。「MWC 2018のデモでは、小型かつ高音質で、先進的なMEMSマイクロ・スピーカが作り出すリアルな3Dサウンドを体験していただけます。当社のPεTra技術により、USoundは大きな市場で革新的なアプリケーションの実現が可能になります。」
USoundの最高経営責任者(CEO)であるFerruccio Bottoni氏は、次のようにコメントしている。「当社は、すでにこの先進的なMEMSマイクロ・スピーカを搭載した3Dヘッドホン向けの開発キットを用意しています。これにより、ゲームや各種エンターテインメント、レジャーのほか、トレーニングやシミュレーションといった専門的な用途向けにも、革新的なオーディオ機器を開発できます。」