AI(人工知能)テクノロジーを手がけるAppier(エイピア)は3月7日に記者向けの説明会を開催し、同社のAI搭載のデータインテリジェンスプラットフォーム「AIXON(アイソン)」に新機能を追加したことを発表した。

アイソンはAIによりオーディエンス分析・予測を行うデータインテリジェンスプラットフォーム。将来的に自社製品の購入や会員登録をする可能性がある消費者を特定し、適切なタイミングでアプローチしたり、離脱の可能性が高いユーザーを特定し、リエンゲージメント施策を展開したりすることが可能だ。

今回のアップデートで新たに搭載された「予測したオーディエンスのセグメンテーション機能」では、オンライン上で利用されたキーワードによってユーザーを分類し、さらに類似したユーザーを見つけ出すことができる。ターゲットの行動や嗜好をより深く理解することで、オンライン上のアクションに関して精度の高い予測モデルを構築することが可能になるという。

また、もう1つの新機能として「チャネル横断オーディエンス予測」が実装された。同機能によって、企業は2つの異なるWebサイトあるいは単一のWebサイトの2つのセクションを選んで顧客の行動を比較することが可能になる。企業は複数のチャネルを横断的に利用して、顧客とのエンゲージメントを構築することが可能になる。

製品マネジメント担当部長であるマジック・ツー氏は「企業にとって真に必要な情報は、商品購入者の性別や年齢だけではない。自社の製品を購入してくれるかどうかだ。アイソンを使えば、オーディエンスの振る舞いを予測して、性別などの顧客属性からは見つけることのできない理想的な顧客の類似ユーザーを発見することが可能。さらに、より個別化した体験を提供するために、顧客のセグメント化を行い、それぞれに対して価値の高いアプローチができる」と新機能の重要性を示した。

  • Appier 製品マネジメント担当部長であるマジック・ツー氏

    Appier 製品マネジメント担当部長であるマジック・ツー氏

実際にアイソンの行動予測とセグメント化を活用した事例として、台湾の出版社が送っているDMにおいて、深層学習によって導き出された特定のキーワードを利用したことで、開封率が2倍、そして、キャンペーンに対するクリック数が3倍になったという効果を出せたという。

説明会では、チーフストラテジーオフィサーのショーン・チュウ氏も登壇し、「2017年はビジネスの拡張する期間だった。営業拠点を14まで拡張し、1000以上のブランドにサービスを提供してきた。2018年はより簡単にAIを導入できるようにすることで、企業が抱えているビジネス課題を解決していきたいと考えている」と2018年のビジョンを述べた。

エンタープライズ向けに専属のチームを組成し、企業向けのAIビジネスを強化していくという。

  • Appier チーフストラテジーオフィサーのショーン・チュウ氏

    Appier チーフストラテジーオフィサーのショーン・チュウ氏

また、エンタープライズソリューションセールス ディレクターの松崎亮氏は「専任のカスタマーサポートや外部との戦略的提携などによって、2017年のローンチから順調に成長できている。現在EC、アパレル、外食、不動産、メディア、金融の6つの業種に対してアイソンを提供しているが、今後はEC、金融、ゲーム業界にフォーカスしていきたい。また、月数十万円から利用できるライトパッケージの展開やカスタマーサポートの拡充をしていく予定だ」と日本におけるビジネスの展望を述べた。

  • Appier エンタープライズソリューションセールス ディレクターの松崎亮氏

    Appier エンタープライズソリューションセールス ディレクターの松崎亮氏