HERE Technologies(以下、HERE)は、同社が2017年に実施した、企業やサービスプロバイダーによる「位置情報の共有に関する意識調査」の結果を発表した。同調査は、日本、アメリカ、ドイツ、オランダ、イギリス、フランス、オーストラリア、ブラジルの8か国8,000人、うち日本では1,000人を超える人々を対象として行われた。
同調査では、現在、自分の位置情報への制限を完全に管理できていると感じている人は、全体で20%、日本では8%だった。44%は、制限しようとしているにもかかわらず、知らないうちに自分の位置情報が共有されていると感じており、76%の人は位置情報の共有に関して不安を抱いているか、自分でコントロールできないと感じているという。信頼を裏切られていると感じる主な理由として、個人データの管理が不十分で、データ収集者側で透明性が欠如していることが挙げられた。
また、その他の回答から、65%の人は、少なくとも1回は自分の位置情報をアプリやサービスと共有したことがあったが、収集された情報がどう扱われているか知っているのは4分の1、位置情報収集サービスが集めたデータを適切に取り扱っていると考える人は5分の1未満、位置情報の悪用を防ぐための法律や規制を信用している人は5分の1未満だった。しかし、位置情報の共有に不安を抱いているにもかかわらず、過半数は自分のデバイスの位置情報設定を積極的に使用していなかった。
一方で約70%は、位置情報の収集が必要な理由や用途を知り、位置情報が保護されるか安全に保存される、または削除されるシステムがあるなら、データ収集者にアクセスを許可すると回答した。また同程度の割合で、自分で設定の変更や、アクセスの禁止、履歴の削除を行えるならアクセスを許可するという回答があった。さらに約63%は、どのデバイスにも自分の指定したプライバシー設定を適用してくれる、「プライバシーサービス」を利用するだろうと回答しており、人工知能(AI)ボットに自分の個人情報管理を任せるという回答も51%あった。
位置情報を共有することのメリットに対しては、自動車の安全性向上という項目が最も高く評価されており、73%がそうした目的には位置情報を共有すると回答した。また、お金を節約したり、割引を受けたり、報酬をもらえるサービスも高い評価を受けている。今後展開されるテクノロジーの使用においては、自動運転車が最も効率的なルートを検索するためなら72%が喜んで位置情報を共有し、ドローンで行方不明になった人、ペット、物を探すためなら69%が共有すると回答した。
各国の回答の特徴としては、日本の消費者は、調査対象国の中で最も強く不安を感じアクセスを厳しく制限しているが、利便性の向上や時間の節約のためなら共有したいと考えており、アメリカ人は、位置情報に関して政府よりライドシェア企業を信用しているという。また、オランダ人は現実的に行動し、パーソナライズされたサービスと制限機能の強化に価値を置いている。ドイツでは位置情報へのアクセスを制限し、共有するアプリを減らしたいと考える傾向が強い一方で、イギリスの消費者は、他国の消費者と比較して最も制限に消極的であり、不安も抱いていないという。フランスでは、人々はプライバシーに強い不安を示す一方、それに対して何もしない傾向にある。オーストラリアの消費者は位置情報に関して注意深く、透明性の欠如に対する不安を平均より強く感じているが、ブラジル人は、共有に関して最も寛容だということだ。
なお、同調査の完全版リポート(英語)は、HERE WebページよりPDFをダウンロードすることができる。