日本IBMは3月5日、都内で国内における2018年のグローバル・テクノロジー・サービスの方針について、メディア向けに説明会を開催した。説明会には、同社 取締役専務執行役員 グローバル・テクノロジー・サービス(GTS)事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏が説明を行った。
GTSは、金融機関、製造業、通信事業者などのミッションクリティカルシステムを利用できるように信頼性の高いIT基盤のシステムやサービスの構築・運用を手がけている。
同社では「IBM Service」「IBM Cloud」「IBM Watson」「IBM System」「IBM Security」「IBM Reseach」の6つのブランドを展開しており、GTSではIBM Serviceを担っている。ブランディングとして「ビジネス+テクノロジーの結合」を掲げ、エンドツーエンドのサービスメニューを有し、ビジネスとテクノロジー両方の側面で支援している。
ビジネスとテクノロジーの結合は、現在ではデータとAIを主軸とした「コグニティブな企業」「インテリジェンスセントリック」と位置付けており、この領域に対し「ニーズに応えることが最大のポイントだ」と、マハジャン氏は強調する。
2018年におけるGTSの方針として、同氏は「ヴィジョンは『クラウドとコグニティブ時代における顧客のインフラニーズに応える』だ。われわれの価値は、テクノロジー+グローバル+トータルソリューションとなる。これらを踏まえ『ハイブリッドクラウドとコグニティブを推進』『ハードウェア&ソフトウェアのマルチベンダー保守サービス』『オートメーションとグローバルを活用した高品質サービスデリバリー』に注力する」と意気込む。
マルチクラウド環境への支援を強く意識した施策に注力
ハイブリッドクラウドとコグニティブの推進に関しては、マルチクラウドインテグレーションにフォーカスする。
具体的には国内企業は、IBM Cloudだけではなく、複数のクラウドを利用しているほか、マルチクラウド環境の運用管理は従来とは異なるため、サービスインテグレーションとしてクラウドサービスを提供する。また、マルチクラウド環境でも24時間265日対応を実現し、クラウドサービス組織を強化するという。
同社はクラウドの設計・構築から運用、オファリング、サービスまでエンドツーエンドのサービス体制を備えている。マハジャン氏は「マルチクラウド環境では複数のサービスが混在し、一元管理やセキュアな管理が必要だ。そのため、適切な管理を実現するIT as a Serviceがあるべき姿であり、サイロ型ではなく、自社や各ベンダーのクラウドを統合的に運用・管理するモジュール型のマネージドサービスが必要だ」と、説明した。
マルチベンダー保守サービスについては「異種混在環境下において複数契約・障害対応窓口やメーカーサポートの終了、保守運用コストをはじめ、複雑な対応が強いられている」と、同氏は現状に対する認識を示す。
そこで、同社では汎用機やPC、プリンタ、POSシステムなどの保守サービスで培った基盤を土台にITインフラをトータルでサポートすることで、コア業務への投資の集中、保守運用コストの最適化、契約・障害窓口の一本化、IT担当者の負担軽減を図るとしている。
高品質サービスデリバリーでは、オートメーションとコグニティブをWatsonにより統合。これにより、コグニティブな洞察で運用管理者の高度な意思決定を支援するほか、IT運用を自立的に管理し、サービス品質の向上が図れるとともに、ITの自律的なガバナンスで継続的な最適化を行うという。
さらに、昨年7月に発表したグローバルにおける運用およびシステム稼働データをドライバーとしたナレッジベースのサービスプラットフォーム「IBM Services Platform with Watson」を、IBM Cloud上のWatsonで実現するとしており、マハジャン氏は「オートメーションにインテリジェンスを加え、問題の分析、サービス品質の向上、ガバナンスの最適化が可能になる」と、胸を張った。