東北大学は3月2日、65歳以上の日本人、英国人を約10年間追跡したデータを分析し、日本人は英国人よりも、男性は132日、女性は319日、長く生きており、比較データから高齢者の長寿に寄与する要因を明らかにしたと発表した。

  • 各要因による9.4年間での日英(イングランド在住者)の生存期間の差 (出所:東北大学Webサイト)

同成果は、東北大学大学院歯学研究科の相田潤 准教授らの日英共同研究チームによるもの。詳細は老年医学の国際科学雑誌「Gerontology」に掲載された。

日本人は、特に女性で世界的にも長寿であることが知られている。世界的に高齢化が進んでいるが、高齢者の余命は平均寿命と必ずしも一致するとは限らず、これまで高齢者に注目した国際比較研究はあまりなかった。

また、これまでの国際比較研究は欧米が中心で、長寿である日本人を含めた研究もあまりなかった。そこで、今回日本と英国(イングランド在住者)の高齢者の生存期間の差に寄与する社会的要因や行動要因を調べる研究を行った。

今回の研究では、65歳以上の日本人13,176人、英国人(イングランド在住者)5,551人を約10年追跡したデータを分析した。その結果、日本人は英国人よりも、男性は132日、女性は319日、長く生きており、下記のような比較データから高齢者の長寿に寄与する要因が明らかになった。

男性の場合

  • 家族とのつながりが多い日本人が、英国人より105日長生きしている。
  • 友人とのつながりが多い英国人が、日本人より45日長生きしている。
  • 喫煙習慣の少ない英国人が、日本人より47日長生きしている。
  • 低体重が少ない英国人が、日本人より212日長生きしている。

女性の場合

  • 喫煙習慣の少ない日本人が、英国人より198日長生きしている。
  • 低体重が少ない英国人が、日本人より129日長生きしている。

日本人で最も改善の余地があるのは、男女ともに「やせ過ぎ」(低体重)から脱却することであり、男性では友人との交流を増やし、喫煙を減らすことにより一層の長寿が期待できると研究グループは説明している。

なお、今回の成果を受けて研究グループは、英国(日本)で実現できている要因は、日本(英国)も改善しやすい要因であり、今後これらの知見を活かすことで、両国でより効果的な健康政策が立案できると考えられるとしている。