日立製作所は2月28日、社会インフラを支える制御システムの最適な生涯保全計画(ライフサイクルプラン)を実現する「制御システム安定稼働サービス」を4月2日から販売を開始すると発表した。価格は個別見積もり。
今回、日立パワーソリューションズと日立システムズと共同で、顧客に納入した制御システムの運用・保守を24時間365日サポートする体制を新たに構築し、グループのOT(Operational Technology)とITに関する技術・ナレッジを結集した独自のサポートプラットフォームを活用しつつ、専門技術者がシステムの問題解決に対応するという。
これにより、障害発生時に迅速な対応が求められる産業・社会インフラ分野の制御システムにおいて、顧客がこれまで対応してきた運用・保守業務を効率化するとともに、システム安定稼働に貢献するとしている。今回、サービスの第1弾として、鉄鋼、火力発電、鉄道分野向けに提供し、順次、そのほか分野への適用を拡大していく方針だ。
今回、新サービスは同社が培ってきた運用・保守に関する技術・ナレッジを融合し、体系化したサービス。特徴として「24時間365日のサポート体制」「日立グループの技術・ナレッジを結集したサポートプラットフォーム」「動作状況のリモート監視など、制御システムのさらなる高度化支援」の3点を挙げている。
サポート体制に関しては、制御システムや機器に関する各種トラブルや問い合わせを、統合窓口のHitachi Control System Service Center(HCSSC)で24時間365日受け付ける。
制御システムで問題が発生した場合、従来はユーザー側で問題発生カ所の特定などを行ってきたが、新サービスで同社がトラブルの状況や問い合わせ内容を踏まえて問題を切り分けるため、ユーザーは安心してシステムを利用できると同時に、運用・保守業務の効率化を図ることが可能だという。
サポートプラットフォームについては、各分野のアプリケーション、ソフトウェア、ハードウェアに精通した日立の専門チームが、同プラットフォームに蓄積した制御システムに関する技術情報や対応履歴をベースに、ユーザーシステムの問題解決に向けて対応。
また、システムを構成する各種部品の交換時期を適切に把握することで、保守用部品の確保・在庫管理が最適化し、ユーザーに対して適切なタイミングで部品交換を提案するほか、ユーザーはポータルを通じて問い合わせ履歴や対応実績を蓄積・閲覧できるため、運用・保守業務を効率化できるという。
制御システムの高度化支援では、オプションとしてユーザーシステムの稼働状況をHCSSCがリモートで監視し、障害発生検知から復旧までの一連の対応を実施。これにより、へき地や遠隔地の制御設備の監視が可能となるため、高齢化が加速する保守員の配置最適化を支援するとしている。
今後、3社はAI技術の活用など制御システムにおける運用・保守の高度化を視野に入れ、サービスメニューの拡充やサービス品質の向上を図ることに加え、制御システムの導入や運用・保守のみならず、コンサルティングや業務分析といったサービスの提供を通じ、システムライフサイクルをトータルで支えることで、制御システムの高度化・安定稼働に貢献していく考えだ。