MM総研は、国内法人における3Dプリンタの導入実態に関する調査結果を発表した。同調査は、国内法人の3万517人を対象にWebアンケートを実施し、回答者の中からさらに、3Dプリンタ機器の導入または3Dプリント出力サービスの利用において「決裁権がある」または「選定に関与する」担当者600人を対象に詳細な調査を実施したもの。調査は1月26日~29日に行われた。
その結果、3Dプリンタ機器の導入・検討率は「家庭用パーソナル3Dプリンタ」の利用が3.3%、検討が3.0%、「産業用プロフェッショナル3Dプリンタ」の利用が3.9%、検討が3.1%という結果になった。家庭用、産業用を合わせた3Dプリンタの導入率は4.9%。一方で「興味はあるが、具体的に検討なし」では家庭用が15.4%、産業用で9.7%あり、導入するメリットや活用方法の浸透次第では徐々に市場が拡大すると予測される。
3Dプリンタ機器と3Dプリント出力サービスそれぞれの導入・検討目的に対する回答は、どちらも「試作品や最終製品の精度を上げるため」が最も多く、3Dプリンタ機器は44.7%、3Dプリント出力サービスは39.5%となった。業種別においても製品の精度向上を目的にする割合が最も多く、利用・検討者の多い製造業では59.1%、サービス業(その他)では49.2%、建設業・設備工業では35.2%という結果になった。教育・学習支援業でも同様に「試作品や最終製品の精度を上げるため」が29.9%となり、教育ICTのツールとして認識されているという。
造形材料の使用状況と使用意向を聞いたところ、樹脂系は代表的な素材のひとつであり、使用したことがある割合は60.7%となった。「今後、使用してみたい造形材料」に対する回答は、ABS樹脂が44.5%と最も高く、アクリル樹脂が33.0%、金属が29.5%と続くが、このうち金属は実際に使用している回答に比べ需要が高いことが特徴的となっている。
3Dプリンタ機器または3Dプリント出力サービスを利用していない回答者にその理由を聞いたところ「材料費が高いから」、「3Dデータを扱える人材がいないから」が、いずれも約2割を占めた。今後は、3Dデータの作成から導入までのトータルサポートや、3Dデータに精通したエンジニアの派遣などの需要が高まると予測されるということだ。