ハイテク市場調査企業であるTrendForceの半導体メモリ市場調査部門DRAMeXchangeによると、2017年第4四半期のDRAM市場は、前期比14.2%増となり最高値を更新。これにより2017年通年でも、前年比76%増と大きく成長したという。
このような高い成長率の主な理由は、「モバイルDRAMの価格上昇」、「年末の繁忙期による季節的な背景」、「2017年第4四半期に新型旗艦スマートフォンのリリースが相次いだこと」などが挙げられる。特に、Samsung Electronicsが、モバイルDRAM製品の価格引き上げを行うなど、同分野の製品はメモリ容量に応じてではあるが、第4四半期中に前四半期比で5〜20%の価格上昇を記録したほか、その他のアプリケーション向けDRAMも、5〜10%ほどの価格上昇を遂げた。
DRAMeXchangeのディレクターであるAvril Wu氏は「2018年第1四半期については、1月の上位3社のPC DRAM価格が前月比5%上昇となる平均33ドルとなったほか、サーバDRAM市場では、北米の4大インターネット企業がデータセンター向けサーバを継続して購入しているため、需要が高まっている。その結果、サーバ向けDRAM製品の価格は、2018年第1四半期に3~5%上昇するする」と予測している。一方、モバイルDRAMは、中国の国家開発改革委員会が、価格上昇をけん制しているが、こうしたさまざまな動きから、2018年のDRAM全体の市場規模は前年比で30%を超す成長となり、金額規模にして960億ドルに達すると予測している。
DRAMメーカー各社の今後の戦略は?
また、DRAMeXchangeはDRAMメーカー各社の今後の戦略を以下のように分析している。
Samsung
Samsungは、2018年に18nm製品のシェアを引き上げる予定である。同社は競合の売り上げを抑え、潜在的な中国の競合企業に対する参入障壁を高めるために、DRAMの生産能力を増加させることを決定。韓国の平沢(ピョンテク)にある新工場の建屋の2階にDRAMラインを設置する。当初の計画は、フロア全体をNAND製造に充てるとしていたが、最近のNAND価格の下落の動きもあり、DRAMへの転換を決定した模様だ。
SK Hynix
SK Hynixは2018年、18nmプロセスの歩留まり向上に集中する予定だという。18nmプロセス技術は2017年に正式に導入されたが、1X-nm特有の技術的なボトルネックのためにスムーズに進めることができなかっただめだという。
また同社は、中国・無錫にあるDRAM工場で、300mmウェハ対応の2番目のファブを建設中であるが、早ければ2019年に稼働を開始する予定で、これにより同社のDRAM生産能力が増加する見込みであるという。
Micron Technology
Micronは、17nm技術への移行を順調に進めており、すでにMicron Memory Taiwan(旧Rexchip)の出荷の90%以上が同プロセスを用いた製品に置き換わっており、完全な17nmへの移行は2018年第2四半期の初めまでに完了すると見込まれている。一方、Micron Technology Taiwan(旧Inotera)は、2018年中期に20nmから17nmに移行する予定であり、Micron Technology Taiwan全体としては、2018年末までに17nm製品を全出荷量の約半分程度へと伸ばし、2019年第1四半期での移行完了を目指しているとする。
Nanya
台湾Nanyaは、DRAMの価格上昇に加えて予想を超えた20nmプロセスの歩留りを達成している模様で、この20nmへの移行により、コスト構造が改善された結果、2017年第4四半期の営業利益率は、前四半期比7%増の38.9%となっており、今後の歩留まりの着実な向上により、さらに利益を高めることが期待されるという。
Powerchip
Powerchipは、ICデザインハウス(ESMTやAPメモリなど)のためのファウンドリサービスに注力し、高利益率の製品を製造していく方針を固めたという。ただ、2017年第4四半期のDRAM売上高は、前四半期の結果と同水準であり、大きな成長は見られなかったようだ。