NECは2月22日、AIを利用して、携帯電話の基地局と基地局制御装置をつなぐ大規模ネットワークであるモバイルバックホールの設計計画・運用業務を効率化するサービスである「Advanced Performance Analytics for Transport Network」を製品化し、2018年度上期中に通信事業者向けに提供開始すると発表した。

新サービスは、超小型マイクロ波通信システム「PASOLINKシリーズ」の構築・運用から得たノウハウと、500件以上のAI適用実績から得たノウハウを融合して開発。また、NECの先端AI技術群である「NEC the WISE」の1つ「異種混合学習技術」を搭載したAI利用プラットフォーム「NEC Advanced Analytics Cloud with 異種混合学習」使用し、複数のサービスメニューを提供する。

通信事業者では、日々の運用で数十万台もの通信機器が大量のログデータを生み出しており、AIを利用してログデータから多様な予測分析を行うことで、通信機器の在庫最適化や保守効率の改善など、通信事業者のネットワーク設計計画・運用業務の効率化が図れるという。

主な特徴として「通信トラフィックの高精度な予測による在庫最適化」「パケットロスの予測による保守効率の改善」の2点を挙げている。

在庫最適化については、通信事業者は納入までのリードタイムを考慮し、数か月先の需要量を予測して通信機器の発注計画を立案しいるため、同サービスではAIを使用して予測精度97%以上で予測した将来の通信トラフィックを基に、通信機器の需要量を提示するという。

通信事業者は、提示される需要量を基に現在の在庫数やリードタイムを考慮して発注することで、在庫最適化が可能になるとしている。

保守効率の改善に関しては、通信トラフィックの増加や周辺環境の変化に伴うパケットロスが頻発していることから、通信事業者は各地に設置した大量の通信機器が発するパケットロスの警報を受けてから駆け付け保守を行っており、保守工数・費用の削減が課題になっているという。

同サービスは、AIにより2~3か月先にパケットロスを起こす可能性のある通信機器を予測し、保守対象機器の優先順位を提示。通信事業者は、提示する順位を基に最適な定期保守を実施することで、予防保守が可能となり、従来と比べて最大15倍の保守効率の改善を実現するとしている。

同社は今後、AIやTOMS(Telecom Operations and Management Solutions)、SDN(Software Defined Networking)などを利用して障害原因解析やネットワーク最適化などサービスメニューを拡充し、IoT/5G時代に向けて多様化・高度化するネットワークの自動運用の実現を目指す。