東北大学(東北大)は、医療系ビッグデータの活用を促進する「ビッグデータメディシンセンター(Big Data Medicine Center;BDMC)」を設立したと発表した。これにより、国民の健康増進に貢献することを目指す。

  • ビッグデータメディシンセンター(解析チーム+大規模医療データ)の全体像 (出所:東北大Webサイト)

情報技術の進歩により大量のデータを処理することが可能となり、これまで分からなかった現象や事実が明らかにできる時代となった。なかでも医学・医療の分野はビッグデータの活用が期待される分野の1つだ。東北大学は、平成 29 年度から指定国立大学の第一陣の1つとして認定され、目標の1つとして、「未来型医療」を掲げており、同センターの設立は、その活動の一環としておこなわれるもの。

  • ビッグデータがもたらす未来型医療のイメージ (出所:東北大Webサイト)

BDMCのセンター長を務めるのは東北大 大学院医学系研究科 循環器内科学分野の下川 宏明 教授。そのほか、4名の副センター長とともに、約30名のスタッフ体制で立ち上げられた。

東北大学は、動物疾患モデルやオミックス解析基盤を持つ医学系研究科に加えて15万人の健康人の遺伝子情報を含めたデータを持つ東北メディカル・メガバンク機構、80万人の患者情報を有し臨床研究中核病院として指定された東北大学病院がある。さらには、情報科学研究科・工学研究科・医工学研究科・薬学研究科・加齢医学研究所など、医療ビッグデータを基にプライバシーを保護しながら、新たな研究領域を創出するための研究環境や人材が揃っている。

同センターではそれらのリソースを活用し、それら異性の高い臨床データとゲノム・オミックスデータを連携させ、情報解析基盤を構築・整備すること、各種疾患・病態を対象とした研究を発展させるための課題を抽出すること、医療系ビッグデータ解析に資する人材を輩出することなどにより、国民の健康増進への貢献を目指す。

同センターは、疾患コア群(難治性癌、生活習慣病、希少疾患、老化・認知症)を設け、これを解析チーム(バイオインフォマテックス、クリニカルインフォマテックス、データサイエンス、臨床疫学、機能遺伝学、遺伝統計学)が解析するという組織構成となっている。

  • センターの組織構成は、4つの疾患コア群と6つの解析チーム (出所:東北大Webサイト)