仮想化とバックアップストレージの両分野の専門家が全く新しいストレージソリューションを引っさげて、Datriumが日本市場に参入した。「仮想化に適したインフラがない」という問題意識から開発したもので、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のスケール問題を解決すると意気込む。キーワードは「ステートレス」だ。
同じ課題意識で創業
Datriumは、バックアップストレージアレイのData Domain(2009年にEMCが買収、現在Dell EMC)の創業メンバーであるBrian Biles氏、同じくData Domainでシステム開発を率いていたRex Walters氏、それにVMwareのプリンシパルエンジニアなど5人が2012年に立ち上げたベンチャー企業だ。共通して抱えていたのは、「新しい種類のコンバージドインフラが必要」という課題意識だ。
DatriumのCEOを務めるBiles氏は、I/0高速化、コンピューティング、プライマリストレージ、バックアップを統合することで「ハイパーコンバージドを次のレベルに引き上げる」と約束する。
主力製品の「Datrium DVX」
仮想化と拡張性のあるバックアップストレージの2つの専門知識を組み合わせたのが、主力製品の「Datrium DVX」だ。DVXはそれぞれ、分散(Distributed)、仮想化(Virtualized)を指し、Xは「コンピュート、プライマリストレージ、セカンダリ(二次)ストレージ、データ保護、データ管理、暗号化、DR(ディザスタリカバリ)など、分散仮想化環境で必要なもの全てを詰め込んだ」と開発を主導するWalters氏は説明する。
「現在のITは、クラウドのような体験を求めている。SAN、NASといった伝統的なストレージは縮小気味、代わってエンタープライズコンバージドインフラが拡大しており、これに合わせた製品と言える」(Walters氏)
Datrium DVXは、「DVX Host Software」「DVX Compute Nodes」「DVX Data Nodes」「DVX Cloud Software」の4コンポーネントで構成される。
DVX Host Softwareはハイパーバイザーの下で動く仮想化プラットフォーム向けの技術で、エンドツーエンドの暗号化などの特徴を備える。顧客はvSphere、KVM、Dockerから選ぶことができる。DVX Compute Nodesはハードウェアだが、必須ではなく、顧客は富士通、Dellなどのx86サーバを利用することもできる。DVX Data Nodesはストレージで、ディスクベースまたはフラッシュベースがあり、データをアプリケーションの近くに置くとともにデータを安全にする部分を担う。DVX Cloud SoftwareはAmazon Web Services(AWS)に接続するサーバで、「DRサイトに転送するのと同じような感覚で」(Walters氏)パブリッククラウドにデータを転送できる。AWS内で動きオフサイトのデータ保護も行う。
これにより、仮想化されたコンピュート、プライマリデータ管理、セカンダリデータの保護、オフサイトデータの保護の4つの機能を実現する。全ての機能に対し、DVX Host Softwareがグローバルビューを提供する。
「各サーバはファイルがどこにあるのかはわかるが、ライブのアクティブなデータはローカルのSSDの上にあるのでコンテンツ自体は見えない」とWalters氏は説明する。