「科学の甲子園」をご存知だろうか。科学技術振興機構(JST)が主催する、全国の高校生の科学の力を競う大会だ。2018年、同大会は7度目の開催を迎える。
2月21日、全国大会の開催地となる埼玉県にて、記者向けの説明会が開催された。説明会には、各都道府県の選考を経て選ばれた47校のうち、同県の代表校である埼玉県立浦和高等学校、および第7回大会の開会宣言を務める山形県立米沢興譲館高等学校の2校の生徒が参加し、大会に向けた意気込みを語った。
科学の甲子園は、科学好きの裾野を広げるとともに、トップ層の学力伸長を目的として実施されるもの。第7回となる今回は、埼玉県で実施されるということもあり、武蔵野銀行や埼玉りそな銀行などの地元企業からの協賛を得るなど、主催となるJSTのみでなく、埼玉県もこの大会への期待を募らせている様子が伺える。
ワイヤレス給電で機械を飛ばせ!
競技は、理科、数学、情報の中から、修得した知識をもとにその活用について問う問題で競う「筆記競技」と、ものづくり能力やコミュニケーション能力などにより課題化を解決する力を競う「実技競技」に分かれる。
実技競技は生物分野、物理分野、事前公開競技の3つからなり、文字通り事前公開競技の内容はすでに生徒たちに公開されている。公開競技の競技名は「はばたけ! コバトン」(コバトンは埼玉県のマスコットキャラクター)。近年さまざまな製品への応用がなされている「ワイヤレス給電」技術を用いて、指定された道具で羽ばたき機を作製し、30m程度の飛行を実現させることが求められる。
同競技には、1チームの中から4人が参加、競技時間は150分。そのうち60分が製作時間となっている。ゴールまでの時間や、制限内に進んだ距離が点数となるので、生徒たちは、ワイヤレス給電の原理を理解し、決められた製作材料と工具類を用いて、適切な装置を作る必要があるというわけだ。
また説明会に参加した、大会の協働パートナーである埼玉りそな銀行の持田光司氏(地域ビジネス部 部長)は、生徒たちに「平常心を忘れず、日ごろの実力を存分に発揮してほしい、チームワークを活かし、難問にチャレンジしてほしい」などとアドバイスを送った。
第7回科学の甲子園全国大会は、3月16日~19日の4日間、埼玉県さいたま市にあるソニックシティおよびサイデン科学アリーナにて開催される。産業の構造が変わりつつある昨今、新たな時代のリーダーとなっていく高校生たちは、この大会でどのような結果を残すのか。その才能を十分に発揮し、本物の甲子園にも負けない熱量で戦い抜いてくれることだろう。