成蹊大学とNTTコミュニケーションズ(以下、NTT Com)は13日、大学講義室内や図書館内に設置した「EnOcean」センサーから取得した環境データ(温湿度)に加え、照度・CO2濃度データなどを収集して体感評価と組み合わせることで、学生の快適な学習環境を実現するための「空間の価値」の最大化に向けた実証実験を開始することを発表した。
建物内などの閉ざされた空間では、人の動きや人口密度、天候・時間による光の差し込み具合など、さまざまな環境要因が業務や学習の効率に影響を与えている。そのため、「空間の価値」の最大化には環境要因の変化に迅速に対応することが重要である。
今回、成蹊大学とNTT Comは、学習効率が最もよい環境を「空間の価値」が最大化された状態と定義し、「EnOcean」センサーから収集した大学内の各種データを分析することで、学習時の快適な温湿度・照度・CO2濃度などを導き出す実証実験を行う。
実証実験では、成蹊大学の大学講義棟や図書館などの居室内に設置した「EnOcean」センサー約30個から、温湿度・照度・CO2濃度などのデータを収集し、NTT ComのセキュアなIoT向けクラウドサービス「Things Cloud」上に蓄積する。その蓄積データをもとに、空気の流れを把握・分析する流体力学を専門としている成蹊大学の小川教授研究室が、学生や教職員に快適な空間となる温湿度・気流を分析し、NTT Comが照度やCO2濃度などのデータ分析を行う。
その後、学生や教職員から得た体感評価と組み合わせることで最適な学習環境を実現する条件を特定し、「空間の価値」の最大化を図るという。
今後、成蹊大学は、学習環境の最適化を目的とした大学講義棟や図書館における「空間の価値」最大化に続き、学生や教職員が大学構内全体で快適な生活を送れるように、温湿度・照度・CO2濃度などの各種空間データの最適値を定めた「環境空間ガイドライン」の策定を目指すという。
一方、NTT Comは、既存の建物へ「EnOcean」センサーを設置するノウハウや、データ取得・分析ノウハウの高度化を図り、電池レス・配線レスの国際標準無線通信規格である「EnOcean」の活用促進と、IoTのトータルソリューション強化に努めていくとしている。