アカマイテクノロジーズは2月15日、同社の2018年の事業戦略説明会を開催。クラウドネットワーキングを新たな事業の柱に位置づけた。

冒頭、職務執行者社長 徳永信二氏は、同社の業績について触れ、「われわれが注力しているのはインターネットの高速化、安全、安定だが、売上は順調に伸びている。2017年の前年比24%の成長はグローバルで一番高い数字で、日本の売上比率はグローバル全体で10%に迫っている」と、日本法人の業績の好調さをアピールした。

  • 日本法人の顧客数と売上成長率の推移

同社はこれまで、ウェブパーフォーマンス、メディアデリバリー、クラウドセキュリティの3つの柱でサービスを提供してきたが、同社の売上は、2013年から2017年にかけ2.35倍になっており、クラウドセキュリティ分野の伸びが目立つ。

  • プロダクトライン別の売上シェアの推移

これについて、徳永氏は「Webセキュリティ市場は拡大の一途だ。今後、さらに、ビッグデータの活用、MSS(マネージド・セキュリティ・サービス)の提供にも注力していく。また、日本はセキュリティの意識が低いので、意識の啓蒙も追求していきたい」と述べた。

  • アカマイテクノロジーズ 職務執行者社長 徳永信二氏

クラウドセキュリティでは、最近、中堅企業、中規模サイトへの攻撃が増えており、情報漏洩も多く、マルウェアの踏み台、仮想通貨マイニングに利用されるケースもあるという。そのため、同社は今後、WAP(Web Application Protector)を提供することにより、SMBに注力するという。

  • 2018年の脅威

ウェブパフォーマンス領域に対する施策としては、Digital Performance Management(製品としてはmPuise)、Image Optimization and Transformation(製品としてはImage Manager)、API Traffic and Governance(製品としてはAPI Gateway)、Fastest Mobile and App Performance(製品としてはIon)、Operational Simplicity For DevOps(製品としてはCloudTest)に注力。

  • ウェブパフォーマンスで注力する5領域

そして、メディアデリバリー領域では、動画広告の拡大に向けプログラマテック広告のサポート、インターネット放送の拡大に向けてはワーフロー機能とBOCC(インターネット放送向け 監視・運用サポート)の拡大、ピークトラフィックの上昇に対してはマルチソース配信を行っていくという。

  • メディアデリバリー領域のトレンド

プログラマテック広告では、本編の広告とは別の広告を差し込みたい、ターゲティング広告を差し込みたいといったニーズに対応するほか、ライブワークフローのサポートでは、地域ごとに権利処理のために蓋かぶせる処理、一部編成を変えたチャンネル用意、ライブをシームレスにVODで公開といったニーズに対応するという。

そして同社が4つ目の事業の柱にしようといているのが、クラウドネットワーキング。これは、これまでLANであったセキュリティ境界をクラウドにし、ネットワークレベルのアクセス制御からアプリレベルのアクセス制御を行うというもの。

製品としては、Enterprise Threat Protector(ETP) とEnterprise Application Access(EAA)がある。

Enterprise Threat Protector(ETP) は、アウトバウンドを制御するもので、従業員が使用、または管理する様々なデバイスからインターネットアクセス時に利用するDNSの機能を強化することで、企業ネットワーク内外に関わらず、クラウドをセキュリティ境界とする防御を実現する。

一方、Enterprise Application Access(EAA) は、インバウンド制御のソリューションで情報共有や共同作業を行う際に問題となる、アイデンティティ情報の管理や多要素認証の実現、アクセスの可視化、VPN設定と機材の確保など、管理のための作業をクラウド型サービスで提供する。

  • ETPとEAA

徳永氏はこの領域について、「テレワークの推進とともに、これまでにない大きな手応えを感じている。ここ(エンタープライズネットワーキング)が今後の大きな柱になっていく」と期待を寄せた。