キヤノンは2月14日、工場の生産現場における自動化(FA:Factory Automation)の推進に向け、2種類の画像処理ソフトウェア「Monitoring Editon」および「Vision Edition」と、オートフォーカス(AF)ならびに自動露出(AE)を搭載したレンズ一体型産業用カメラ「N10-W02」を発表した。

  • キヤノンが提供するFAソリューションのイメージ

    キヤノンが提供するFAソリューションのイメージ

Monitoring Editoonは、マイルストーンシステムズのXprotectにPLCとの通信機能を追加するプラグインソフト。今回の発表と併せてキヤノンはシーメンスjとFA関連での協業を発表しており、同ソフトは、シーメンスの産業用PC(IPC)「SIMATIC IPC」にXprotectと一緒にインストールされた状態で提供されることとなり、これによりカスタマはPLCからの信号をもとに録画を開始したり、ネットワークカメラからの信号をPLCに送り、生産装置を制御することが可能となる。

パンチルト/ズームなどの機能を搭載したネットワークカメラを天井や壁にとりつけ、ラインの様子を監視したり、作業員の行動を監視したりすることで、トラブルの発生を未然に防ぐほか、トラブルが生じた際の早期回復のサポートを実現することをコンセプトに開発されたとのことで、PLCからの信号を受け取って、その前後の時間(最大)10分間を切り取って録画するといったことも可能。これにより、装置に異常が発生した際などでも、その前に何が起こっていたかを速やかに確認できるようになるという。

  • Monitoring Editoonの展開イメージ

    Monitoring Editoonの展開イメージ

一方のVision Editionは、同社製ネットワークカメラや産業用カメラに対応した画像処理ソフトで、デンソーウェーブの人協働ロボット「COBOTTA」に搭載し、COBOTTAを制御したり、ネットワークカメラを用いた画像点検を可能とするものとなっている。

そのコンセプトは、誰でも簡単に導入できる画像処理システム、というもので、人間が従来行っている目視確認作業やピックアップ/再配置といった単純作業をロボットに任せることを可能にするソフトとなっている。

誰でも簡単に、をコンセプトとしていることから、ロボットプログラムやPLCプログラムを習熟なしに、動作が記述されたユニットと呼ばれるアイコンのようなものをつないでフローチャートを構築するだけで動作を設定できるといった配慮もされており、フローチャートも分岐処理といった複雑な対応もできる高度なものとなっている。

そのため同社ではさまざまな用途での活用が見込めるとしており、装置の稼働状況を示すパトライトの色識別やバーコードの読み取り、形状把握、数字の読み取り、アナログメーターやデジタルメーターの読み取りといった幅広いニーズに対応できるとしている。

  • Vision Editionの展開イメージ

    Vision Editionの展開イメージ

このほか、ハードウェアであるN10-W02は、同社のAF技術を活用した小型軽量の振るハイビジョン対応産業用カメラで、サイズは91mm×45mm×38mmで、重さは約145gとCOBOTTAに装着しても取り回しに問題のないサイズ、重さとなっている。販売時点では、COBOTTAへの搭載を前提とした、COBOTTAのオプションという位置づけだが、それ以外の単体での用途や他のメーカーのロボットへの搭載といったことも今後可能になってくるという。

なお、同社では、Monitoring Editionについては、自動化済みの工場でのトラブル分析などを主なニーズと捉えているほか、Vision Editionについては、自動化していきたいという工場のニーズに応えるものとしている。3製品ともに価格はオープンで、Vision EditionとN10-W02は3月上旬から、Monitorting Editonは4月下旬からそれぞれ提供が開始される予定となっている。