福島県新地町、NTTコミュニケーションズ(NTT Com)、スズキ教育ソフト、ラインズ、コードタクト、イーキューブの6者は2月8日、文部科学省の「次世代学校支援モデル構築事業」と総務省の「スマートスクール・プラットフォーム実証事業」に参画すると発表した。
学校で利用するシステムには、教職員が児童生徒の出欠管理や成績評価などに利用する「校務系システム」と、教職員や児童生徒が教室、家庭などで授業や自己学習に利用する「授業・学習系システム」がある。
6者が参画を表明した両事業は、これらのシステムを安全かつ効率的に連携し、得たデータを可視化することで、教員による学習指導や生徒指導などの質の向上や学級・学校運営の改善を図ることを目的にしている。
新地町は「ICTを活用して学びの質を高め、21世紀を生き抜く力を育てる授業」をテーマとして「個々に応じた学び」「主体的・協働的な学び」「探究思考の学び」の実現を目指し、クラウドを用いたシームレスな学習環境の整備を進めている。
今回、6者は2月から両システムのデータをクラウド上で連携し、個々の児童生徒の特性を生かした学校・学習の実現を目指す実証を行う。
実証では、5社が校務系システムと授業・学習系システムをクラウドサービスで提供し、両システムのデータを連携する。これにより得たデータを利用して、新地町が「個々の児童生徒の状況(エビデンス)に基づいた適切な指導・評価」「主体的に参加し対話を通じて深い学びを得る授業」の実現に取り組む。
適切な指導・評価に関しては、出欠状況や友人関係、成績状況や学習履歴などを相関的に把握できる「児童生徒個人データ」を作成する。これにより、教員が児童生徒の学習状況や指導状況を瞬時に把握可能になり、教員の業務負担を軽減するとともにエビデンスに基づいた適切な指導や評価を実現するとしている。
深い学びを得る授業については、指導計画や授業記録、成績情報や学習到達状況を評価するルーブリック評価などを統合し、「教科指導データ」を作成。教員がデータを利用することで、児童生徒の主体性を引き出し、教員や児童生徒が主体的に参加し、教員やほかの児童生徒との対話を通じて深い学びを得られる授業を実現するという。
なお、実証には同町の全小中学校(同町立新地小学校、福田小学校、駒ケ嶺小学校、尚英中学校)における小学3年生から中学3年生までの児童生徒551人、教員63人が参加する。実証を通じて新地町は「社会を生き抜く力を育てる学習指導」「社会的資質を伸ばす生徒指導」「充実した家庭学習に向けた支援」の実現を進めていく方針だ。
同実証において、新地町は実証の企画・運営、NTT Comは実証のプロジェクトマネジメントと教育クラウド・プラットフォーム「まなびポケット」を提供し、「授業・学習系システム」のデータ集積・分析、連携を行う。
スズキ教育ソフトは、校務支援システム「スズキ校務」を提供し、成績処理などの校務処理とデータ連携、ラインズは個別学習支援システム「eライブラリ for まなびポケット」の提供に加え、個別学習と家庭学習のデータ連携を担う。
コードタクトは、授業支援システム「スクールタクト」を提供し、協働学習のデータ連携、イーキューブは、授業記録システム「BANSHOT」の提供のほか、授業の記録用・共有用データの連携を担当する。