シーメンスは2月8日、日本国内の顧客向けにオープンなクラウドベースIoTオペレーティングシステム(OS)「MindSphere」の最新版となる「MindSphere 3.0」の提供を開始したことを発表した。
シーメンスにて代表取締役社長兼CEO,パワー&ガス事業本部長,パワージェネレーション・サービス事業本部長を務める藤田研一氏は、「IoTというキーワードは普及したが、実際のところ、IoTで何をやるの?、という疑問は根強く残っている。ようやく最近になって、IoTを活用して何か実際に動く、という状況になってきた。そうした意味では、2018年はIIoT元年とも言え、これまでアナログであった産業分野もデジタル化が進むことが期待できる」と、現在の産業分野を取り巻くIoT関連の状況を説明。そうした環境の変化は、IIoTの活用により、今後さらに激しさを増し、将来的にはピラミッド型のサプライチェーンから、ティア2やティア3がキーテクノロジを握り、下克上が起きる、といったことも起こる可能性も出てきた。同氏も、「そうした環境変化に対応するためにMindSphereを活用する企業が増えていくことが期待される。シーメンスが今後、どういった戦略を進めていくかについては、年単位のスパンで期待していてもらいたい」(同)とそうした変化がMindSphereの活用に追い風になることを強調した。
最新版となるMindSphere 3.0の最大のポイントはアマゾン ウェブ サービス(AWS)に対応したこと(データセンターとしては、フランクフルトのAWSデータセンターを活用)。これにより、クラウドとしてのパフォーマンス向上はもとより、AWSの従来サービスとMindSphereでのデータ連携といったことも可能となる。
また、シーメンスは顧客のデータに一切タッチしない、という方針を示す一方で、取得したデータを活用するためのさまざまなAPIをライブラリとして提供。顧客が自由にAPIを活用して、MindSphereと連携するハードウェアやソフトウェアを開発することを可能とした。
さらに、製造現場のさまざまな機器からデータを収集し、プラグ&プレイでMindSphereに接続したり、早いサンプリング周期のデータ収集を行い、信号の前処理やそのエッジ側分析ツールとの連携、Raspberry PiなどのIoTデバイスとの接続を可能とするような広範なコネクティビティ性も提供された。
このほか、開発者のための分析機能やデータサイエンティストのための作業ベースの提供や、アプリ、オプション、拡張品、サービスなどの提供・売買が可能なマーケットプレイスも用意したとのことで、同社では、そのインパクトを「この規模で、さまざまな人が役割を分担し、データを活用できる環境はほかに類を見ないものであり、3.0では、従来以上に破壊的とも言える環境を構築したと思っている」と表現する。
なお、3.0の提供に当たって販売形態も変更。従来の使った分だけ支払う、という方式から、定額制を採用したものへと変更された。契約プランは、開発経験がなくても、MindSphereアプリを活用したりして生産効率の向上などを図ることができる「MindSphere IoTバリュープラン」が月額で50名規模までの利用が可能なSセットで3万9000円(税別)、150名規模までの利用が可能なMセットで12万3800円(同)、500名規模までの利用が可能なLセットで50万8000円(同)とするほか、テストシステム上でのアプリケーション開発などを可能とする「MindSphereデベロッパープラン」(Sセットで4万5600円程度、Mセットで14万3000円程度、Lセットで24万1000円程度)や、データ収集システム上でのアプリ運用と、マーケットプレイスを通じてのビジネスが可能な「MindSphereオペレータープラン」なども用意されているという。