東北大学は2月5日、伸縮性のある有機電極ワイヤーを開発し、筋肉(骨格筋)の細胞で包むことに成功したと発表した。
同成果は、東北大学大学院工学研究科の西澤松彦 教授と長峯邦明 准教授(現 山形大学)らの研究グループによるもの。詳細は英国の学術誌「Scientific Reports」オンライン版に掲載された。
筋肉は、運動時に放出される筋肉ホルモン(マイオカイン)によって体全体の健康を調節しており、運動には肥満や糖尿病などさまざまな病気への治療効果が知られている。また、筋肉-電極ワイヤーによる実験は、運動効果のメカニズム解明、さらにはエクササイズピル(運動効果をもたらす薬)の開発につながる。
今回開発したワイヤーは、導電性高分子PEDOTとポリウレタンの複合体で、高容量(10mF/cm2以上)であるため、細胞を傷つけない安全な電気刺激によって、筋肉運動の質(強度)や頻度を自在にコントロールできるとしている。
加えて、研究グループはこの筋肉-電極ワイヤーを用いて、運動時に放出される筋肉ホルモン(マイオカイン)が白血球を引き寄せることを実証したという。
今回の成果を受けて研究グループは、同ワイヤーは、筋肉以外の細胞への刺激にも有効なため、将来的にはヒトの全身機能を電気制御するサイボーグ技術への貢献が期待できるとしている。