京都大学(京大)は2月1日、可聴域の音に対して細胞レベルで遺伝子応答が起こることを示したと発表した
同成果は、京都大学生命科学研究科の粂田昌宏 助教、吉村成弘 准教授らの研究グループによるもの。詳細はオンライン学術雑誌「PLOS ONE」に掲載された。
音は、人をはじめとする動物個体にとって、外界の認識やコミュニケーションのツールとして非常に重要な役割を果たす。その個体レベルでの重要性は誰もが認めるものであるのに対し、細胞レベルで音を認識する仕組みがあるかどうかについては、これまでに科学的な検証がほとんどなされていなかった。
今回の研究では、可聴域音波が細胞レベルでの応答を引き起こすかどうかを、細胞の遺伝子応答に着目して追究。さまざまな種類の細胞にさまざまな音波を当て遺伝子解析を行ったところ、細胞によっては特定の遺伝子群のはたらきが抑制されることや、その応答レベルには音の大きさや波形などの特徴が大きく影響することをが明らかになった。中には抑制応答が見られない種類の細胞もあることから、分化など細胞の状態によって、音に対する応答の仕方が異なると考えられるという。
今回の成果を受けて研究グループは、今後、実験を通して検証を進めることで、細胞が持つ音波に応答する仕組みを明らかにするとともに、音が生命に与えうる影響を多角的に考察していくとしている。