ニコンは、セルテクノロジーと、歯髄細胞を原料とした再生医療等製品に用いるための臨床用マスターセルバンク(MCB)の構築を目指し、業務提携契約を締結したことを発表した。

歯牙という硬組織に保護された、神経由来の幹細胞を含む細胞である「歯髄細胞」は、従来は廃棄されてきた乳歯や親知らずなどの永久歯から容易に採取ができるうえ、増殖力が極めて高いことから、再生医療に利用可能な幹細胞として有望視されている。

歯髄細胞による再生医療の実用研究は、アルツハイマー病や脳梗塞などの神経疾患をはじめ、心筋梗塞などの心臓疾患、糖尿病などの臓器疾患など幅広い分野で進められており、セルテクノロジーは、再生医療のための他家移植(他人の細胞を移植すること)向け細胞ソースとして歯髄細胞を収集・備蓄している。

また、ニコンは、コア技術である光学技術および画像解析技術を活用し、細胞の品質評価をソリューションとして提供する新事業を始めており、既にさまざまな現場で採用されている。同社の100%子会社であるニコン・セル・イノベーションは、再生医療用および遺伝子治療用細胞における前臨床試験から上市まで、受託開発・生産のサービスを幅広く提供している。

今回の業務提携により、ニコン・セル・イノベーションは、セルテクノロジーが保有する歯髄細胞を原料とした再生医療等製品に用いるため、臨床用MCBの製造手法の開発および製造に関する業務を受託する。両社は、GCTPおよびGMPに対応した歯髄細胞由来の臨床用MCBを用いて、研究機関および製薬企業などに対し、適切に品質管理された歯髄細胞を安定的に供給する。これにより。両社で再生医療の実用化促進に大きく貢献するとしている。