東芝テックは1月31日、経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「IoTを活用した新産業モデル創出基盤整備事業」の一環として、町田市内全域の商業店舗で2018年2月13日~2月28日までの期間で電子レシートの標準データフォーマットおよびAPIに対応した電子レシートプラットフォームの実証実験を実施すると発表した。

  • 実証実験の概要

    実証実験の概要

今回、町田市内全域のミニストップ、ウエルシア薬局、ココカラファイン、東急ハンズ、三徳、銀座コージーコーナーの店舗において、経済産業省が策定する電子レシートの標準規格の検証作業として、業種、業態の異なる小売店舗における、標準化された電子レシートプラットフォームの有用性を検証。

開発した標準データフォーマットおよびAPIを採用することで、従来は個別に開発・利用されていた各社の電子レシートシステムや電子レシートを活用するアプリが、企業の垣根を越えた連携が可能になるという。実証実験では、東芝テックの電子レシートシステム「スマートレシート」をベースに、電子レシートの標準データフォーマットおよびAPIを実装した電子レシートプラットフォームを使用する。

スマートレシートは、通常は紙として提供される買い上げ商品のレシートを電子化し、電子レシートセンターがデータとして預かり、消費者が自分のスマートフォンでレシート内容を確認することができる仕組み。電子化によるペーパーレスで、手元に紙のレシートを残さずにスマートフォンで購買履歴の確認を可能としている。

  • スマートフォンで購買履歴が確認できる

    スマートフォンで購買履歴が確認できる

電子レシートの標準プラットフォーム化により、家計簿ソフトや健康管理ソフトなど、多様なアプリで電子レシートデータを活用することができるようになるため、消費者や企業にとって利便性の高い社会インフラの構築が可能になるという。また、個人情報保護の観点から利用者本人がデータを提供する際、自らの個人情報を保護(マスク処理)できる仕組みプライバシーポリシーマネージャー(PPM)を搭載。

消費者の電子レシート情報を蓄積するインフラを構築することができれば、個人の買い回りの状況までを見通すことが可能になるという。当該データは、小売店舗の枠を超えた個人の消費内容の情報となるため、当該個人が起点となり電子レシートデータを提供すれば、正確な消費者理解に基づく商品開発やサービス提供が期待できる。

さらに、電子化されたレシートデータに気象データや実店舗のセンサデータなどのIoTデータを組み合わせることで、新たなニーズを見つけられる可能性もり、電子レシートとIoTデータで現実社会で新たな価値を生み出す社会インフラの構築を目指す考えだ。

実証実験では、個人を起点とした購買履歴の流通による消費者理解の向上を目的に5つの事業を実施。1つ目は、同一商圏内の業種業態の異なる複数店舗に電子レシートを導入し、消費者がどの店舗で買物をしても、標準フォーマット・標準APIを利用した電子レシートを受け取る。

2つ目は、消費者が自身の判断で電子レシートデータ提供の意思決定を行うことで、データ提供を行った際には家計簿管理や健康管理アプリなどのサービスの利用を可能にする。3つ目は、消費者が提供するデータは消費者の設定により提供データがマスク処理されるため、消費者の意に沿わないデータ流出を防止する。

4つ目は、気象データや実店舗のセンサデータなど、さまざまなIoTデータを収集(Azure IoT Hubを使用)し、電子レシートデータと組み合わせて分析できる環境を提供する。5つ目は、電子レシートを利用した各種サービスの提供やデータの活用を目指す企業が電子レシートの標準データフォーマット、および標準APIに対応することで、さまざまなサービスを効率的に構築することができるという。

なお、実証実験にはシステム協力として富士通やNTTデータCCSなど6社、クラウド/IoTは日本マイクロソフトなど3社、スマホアプリはマネーフォワードなど6社、そのほか3社の協力企業と町田市をはじめとした5者の協力団体が参画する。