富士通は1月29日、リクルートコミュニケーションズ(RCO)と、アニーリング技術を活用したマーケティング技術の開発を目的とした共同研究を開始したと発表した。

近年、マーケティング・コミュニケーション分野では、個人の嗜好に合わせた広告の表示や情報提供を行うデジタルマーケティングが活発化している。

RCOは、リクルートグループのデジタルマーケティングソリューション開発、およびメディアの制作・宣伝を担う企業。同社は今回、個々のサービス利用者の適切な広告・コンテンツを提供するために、膨大な組み合わせの中から最適な組み合わせを探す「組み合わせ最適化問題」を得意とする富士通の計算機アーキテクチャである「デジタルアニーラ」を活用することで、サービス提供の質の向上を目指す。

デジタルアニーラは、富士通が2016年「量子コンピュータを実用性で超える新アーキテクチャ」として発表したもので、すでに2017年8月よりクラウドでトライアル提供が開始されている。量子コンピュータが得意とする組み合わせ最適化問題を、従来の半導体技術を用いて解くことができることが特徴だ。

デジタルアニーラは、その計算の精度の高さと高速性から、金融分野や創薬分野などでの実用化に向けた取り組みが進められていたが、今回の共同研究により、RCOと富士通は同技術のマーケティング分野への応用を目指すこととなる。

具体的に、富士通および富士通研究所は、デジタルアニーラの利用における知見の提供と計算処理の効率性を高めるためのシステム実装を行い、RCOは、これまでのマーケティング・コミュニケーションを通じて得られたデータおよびデジタルマーケティングソリューションをベースに、ビジネスの中で活用可能なマーケティング技術の実現に向けた研究開発を進めていくとしている。

なお富士通は今後、デジタルアニーラの適用を支援する技術者を大幅に増強し、さまざまな業種におけるデジタルアニーラの適用を加速していくとしている。