富士通とリクルートコミュニケーションズは、富士通研究所が開発した量子の振る舞いに着想した独自の計算アーキテクチャ「デジタルアニーラ」を活用したマーケティング・テクノロジーの開発を開始することを発表した。
富士通研究所が開発する「デジタルアニーラ」は、従来の半導体技術を用いながら量子コンピュータ(アニーリング方式)が得意とする"組合せ最適化問題"に臨むもので、2016年10月に発表している。2017年9月には、簡易な初期パラメータを与え並立動作させることで事前の複雑なパラメータ設定を不要とする技術を開発、準備期間を10分の1から100分の1へと大きく短縮している。
デジタルアニーラの公式サイトでは、"量子コンピュータと汎用コンピュータの両者の良さを取り入れた新アーキテクチャコンピュータ"と銘打ち、応用数学などの分野で用いられる"巡回セールスマン問題(traveling salesman problem)"を例に挙げ、総当たりで最短距離を求める、このようなジャンルで劇的な高速化をもたらすことが述べてある。
リクルートコミュニケーションズは、リクルートグループが提供するサービスにおけるデジタルマーケティングソリューションの開発を行う企業。デジタルマーケティング分野では、個々のサービス利用者の嗜好に合わせて最適な広告やコンテンツを提供するために用いられる最適化問題が多いという。今回、富士通が協業するカナダの1QB Information Technologies Inc.開発の量子コンピューティング向けソフトウエアを組み合わせた「デジタルアニーラ」をクラウド形態で活用し、マーケティング効果の最大化の実現を目指す。