シーメンスPLMソフトウェアは、統合システムシミュレーションプラットフォーム「Simcenter Amesim(旧LMS Imagine.Lab Amesim)」の最新バージョンを発表した。最新バージョンでは、システムシミュレーション機能が大幅に強化されている。
Simcenter Amesimは、設計サイクル全体にわたってメカトロニクスシステムの性能を仮想的に評価して最適化できるようにする統合システムシミュレーションプラットフォーム。各業界に合わせた各種ソリューションに加え、すぐに利用できるマルチフィジックスライブラリがそろっているため、システムシミュレーションエンジニアはすぐにモデルを作成して正確な解析を実行できる。同プラットフォームは、FMI(Functional mockup interface)とModelicaをサポートし、Simcenterの他のソリューションやTeamcenterとの統合のほか、CAE/CAD/制御系ソフトウェアパッケージとも連動することが可能となっている。
最新バージョンでは、操作性の大幅な刷新と設計プロセス全体のより緊密な統合により、システムシミュレーションの生産性を大幅に向上させた。また、燃費、汚染物質排出削減、eモビリティなどの業界が抱えている課題に重点を置いた新しい用途にも対応する。自動車業界向けには、実路実走行時の排出量予想、バブルトレインや潤滑システムのモデリング、アンダーフードの熱交換器のプレサイジング、電池や電気モーターの設計などに対応する機能強化、航空宇宙業界向けには、推進・燃料システムの設計、航空機の電動化などに対応する機能の提供、産業機械業界向けには、各種実機および仮想プログラマブル・ロジック・コントローラー(PLC)に接続してフロントローディングでの制御系の検証を行えるツールが実装されている。
また最新バージョンでは、「Simcenter Webapp Server」と「Simcenter Embedded Software Designer」の新製品が追加され、Simcenterポートフォリオ全体のシステムシミュレーション機能が大幅に拡張されている。さらに、「Simcenter System Synthesis」と「Simcenter Sysdm」のバージョンアップにより、システムシミュレーションのアーキテクチャーの構築およびモデル管理がより簡単に行えるようになるという。
新製品の「Simcenter Webapp Server」は、システムシミュレーションの利用範囲をエンタープライズ規模に拡張させる。カスタムGUIからのウェブベースのアクセスや、事前に定義されたシステムモデルのパラメータ化により、メカトロニクスシステムのエンジアリングワークフローを大幅に簡素化し、システムシミュレーションの全社的な利用範囲を拡張させる。なお、同製品のリリースは2018年後半が予定されている。
「Simcenter Embedded Software Designer」は、デジタルツインのコンセプトをソフトウェアエンジニアリングに適用拡大することを目的に開発されたアーキテクチャーベースおよびモデルベースのソフトウェア開発環境。同製品の活用により、ソフトウェア・プロジェクトのエンジニアは、ソフトウェアコードの実装、統合、検証のための仕様を簡単に作成することができる。
「Simcenter System Synthesis」は、増えるバリエーションと構成に対応できるようシミュレーション設計者とプロジェクトエンジニアをサポートする。この統合環境は、効率的なポストプロセッシング機能の提供により、利用可能なモデルからさまざまなシステムシミュレーションアーキテクチャーの構築とシステム性能の評価を、生産性のより高いインタラクティブな方法で可能にする。なお、最新バージョンのリリースは2018年後半が予定されている。
「Simcenter Sysdm」は、特定のツールに依存することなくシステムシミュレーションのデータとモデルの管理を可能にして、業務の協調性・連携性の強化、全体の効率性向上、シミュレーション品質の向上を実現する。この最新バージョンには、モデルのライフサイクルとコレクションのカスタマイズの他に、クライアントやサーバー構成に対応する新機能が搭載されているということだ。