NECは、組み合わせ最適化問題を高速に解くための量子アニーリングコンピューティングにおいて、性能向上に関わる量子状態時間を向上可能な方式の実証を完了。量子アニーリングマシンの研究開発を加速することを目指し、研究体制を強化すると発表した。
AIを使った社会課題解決においては、機械学習によって導出された無数にある選択肢から最適な組み合わせを導出する「組み合わせ最適化」が重要となる。このため、組み合わせ最適化問題を並列に高速に解くことができる量子アニーリングマシンの研究開発が進められている。しかし、高速化の鍵である量子状態の長時間保護、さらには大規模な問題を扱うための計算素子ネットワークの構築が難しい、などという課題があった。
NECは今回、量子効果を活用して大規模な問題を高速に解く、全結合型量子アニーリングマシンの基本素子として、ノイズ耐性に優れ量子状態を長く維持できる回路と、量子ビット間のすべての相互作用をスケーラブルに実装できる全結合方式を用い、基本回路ユニットにおける動作の理論的なシミュレーションを実施。その結果、期待される動作がなされることを検証したという。これにより、対象の問題のサイズが大規模な場合であっても、組み合わせ最適化問題を超高速に解くことができるようになるとしている。
なお同社は今後、同技術を採用した本格的量子アニーリングマシンを2023年までに実用化することを目指すとしており、それに向けて研究者を増員するなど、研究開発体制の強化を進めてくとしている。