1月18日~20日にかけて、東京ビッグサイトにおいて「第4回 ウェアラブルEXPO」が開催されている。繊維大手の東洋紡は、フィルム状導電素材「COCOMI」の活用例を展示している。
「COCOMI」は厚さ約0.3mmの導電繊維で、ブースでは「洗濯100回クリア」というフレーズをかかげて性能をアピールしていた。柔軟性が高く通常の衣服に近い取り回しが可能であることや、電極と配線が一体化して計測対象にフィットすることを強みとしている。
同展会場では、通電繊維やセンサなどを用いて、ヒトが特定の衣服を着用し、運動時にセンシングを行うような例が多くを占めていた。同社も同様の用途は示しつつ、産後うつ研究向け妊婦用スマートウェアや、競走馬の調教支援システムでの活用など、それ以外の事例も披露した。
特に、Anicallの提供する競走馬向けの調教システム「Horsecall」においては、「高速で走行する馬の心拍がうまく測れない」という問題を解決するため、同社に声がかかったという。COCOMIを用いた心拍計測用ベルトカバーは伸縮性があるため、システムの要請にかなう安定した測定が可能になった。すでに同システムは市販されており、競走馬飼育の現場において使われている。
「ウェアラブル」に含まれる各種機器のなかで、VR/AR向けのHMDに比べると普及が一歩遅れている向きのあるスマートウェア。東洋紡のコーポレート研究所 快適性工学センター部長の清水氏は、同社の事例のうち、現状市場に受け入れられているのは競走馬向けの『Horsecall』で、ヒトが用いる想定の事例については、協力企業との実証実験フェーズにあると語る。そして、センシングウェアに関して同社らが参画して標準規格の策定を進めているということで、「各社がさまざまな仕様の製品を出している状況で、一定の品質を保証する基準が設けられるようなものになるよう進めていきたい」とコメントした。