1月18日~20日にかけて、東京ビッグサイトにおいて「第4回 ウェアラブルEXPO」が開催されている。QDレーザのブースでは、網膜に直接映像を投影するヘッドマウントディスプレイ「網膜走査型レーザアイウェア」のタッチ&トライを実施していた。
「ウェアラブル」の代表機器としてヘッドマウントディスプレイ(HMD)の存在感は年々増しているが、同製品は映像を眼前のディスプレイに映すのではなく、装着者の網膜に直接投影するという手法が特徴となっている。タッチ&トライには行列ができており、同製品への期待感が感じられた。
今回展示されていたのは、市販を想定したモデルのプロトタイプ。光学ユニットをメガネ型フレームの内側に搭載しているため、見た目からはサングラスと大きな違いを受けない。レンズに色がついているのは、一般的なプロジェクタを使う際に部屋の照明を落とすのと同じ狙いで、映像を鮮明に見せるためという。
網膜に投影するという仕組みのため、装着者は自身の視力にかかわらず、クリアな像を見ることができる。デモ機では外部入力した映像が投影されていた。実際に装着してみたところ、メガネの片眼よりひとまわり小さい投影領域ながらくっきりとした画質で視聴することができた。筆者は強度の乱視のため、メガネの矯正なしにはっきりとした映像を見られたのには驚いた。また、遠近どちらを見ていても映像にピントが合うため、たとえば工場での作業ガイドなど、ARやMRの活用において、ピントの調整が不要なことは強みになるだろう。
また、同製品はモジュールのみ取り外すことが可能。ジオメトリを公開しているため、ユーザーがカスタマイズを行うこともできる。仮に製品をふたつ購入すれば両眼投影も実現できるというが、コントロールボックスがモジュールの数だけ必要となる仕様であること、また実際に消費者が手に取れる範囲の価格を設定するという意味も含め、製品化はまず片眼で実施したいとの意向を示した。
同社は2006年に立ち上がった、富士通研究所のスピンオフベンチャー。数年来このデバイスを開発してきており、ロービジョン(視覚機能が低下している人)の利用を想定した製品開発を進めている。ただし、同社の視覚情報デバイス事業部 事業開発グループ セールスエンジニアの手嶋氏によれば、今回展示しているのは一般発売向けのもので、ゆくゆくはインターネット上で通販可能にする想定という。その一方で、ロービジョン向けの製品は医療機器としての認証申請の準備段階にあり、別途展開すると語った。