チョコレートの種類としてビター、ミルク、ホワイトチョコレートがあることは広く知られているが、そこに新たなカテゴリとして「ルビー」が登場した。鮮やかなピンク色と特徴的な酸味のある風味を併せ持ったチョコレートで、着色料や他の果実などは用いず、カカオ豆のみで作られている。
ネスレ日本は、このルビーチョコレートを原料に採用したキットカットの新商品「キットカット ショコラトリー サブリム ルビー」を、1月19日より発売すると発表した。
ルビー色のキットカットを発売
ルビーチョコレートは、スイスのチョコレートメーカー「BARRY CALLEBAUT(バリー・カレボー)」が10年以上の歳月をかけて開発した、新たなチョコレートのカテゴリー。2017年9月に発表され注目を集めていたが、同社はB2Bでチョコレートを原料として提供する企業のため、商品化が待たれていた。ネスレ日本によれば、今回の新商品が、ルビーチョコレートを使った世界で初めての市販商品になるという。
ルビーチョコレートがキットカットの原料として初めて世に出されることになった経緯として、ネスレとバリー・カレボーがパートナー関係にあり、共にスイスに本社を置いていることが挙げられた。バレンタインシーズンに間に合わせるため、発表から製品化まで急ピッチで開発が進められた。
ルビーチョコレートの開発元「バリー・カレボー」のマーケティングディレクターであるバス・スミット氏は、ルビーチョコレートについて、ミルクチョコレートのようななめらかさと特徴ある風味をあわせもつ、新規性の高い味になっているとコメントした。
ルビーチョコレートの原料となるのは、ブラジル、エクアドル、コートジボワールなど多くの産地の中から特定の条件にかなうものだけを選出した「ルビーカカオ」。10年という開発期間は、これを選び出すための条件設定、およびルビーカカオからルビーチョコを作り出すための手法の模索にあてられたという。スミット氏は「これまでのホワイト、ミルク、ビター、そしてブランドショコラとはまったく違うニーズを満たせる」と胸を張った。
また、同商品の開発に携わったネスレ日本 コンフェクショナリー事業本部 ビジネス開発部 竹内雄二部長は、日本で行ったルビーチョコレートの消費者調査について触れ、「日本の消費者は(チョコレートにまつわる)情報を多く持っていて、カカオ豆や農園、つまりビーントゥバーに興味を持ちだしているタイミングにある。特別なカカオ豆から生まれたルビーチョコレートというストーリーが、消費者の興味に合致し、驚きを持って迎え入れられている」と語った。
ルビーのキットカット、期間限定で"バラ売り"
ルビーチョコレートを用いた新商品は、キットカットの高級ブランド店舗である「キットカット ショコラトリー」にて販売される。1月19日~25日までの1週間限定で、日本および韓国のキットカット ショコラトリー店舗、公式ネットショップにおいて1本から購入できる。それ以降は、ルビーやその他の種類を詰め合わせたバレンタインアソートを展開する。
会見後の試食会で実際に食べてみたところ、ベリーチョコレートとは異なる鮮烈なカカオの酸味がある一方でコクが強く感じられ、確かに新規性が強いできばえとなっている。たとえるなら濃厚なレアチーズケーキのようだったが、香料を用いた菓子のような後味はなく不思議な感覚だ。キットカットがウエハースチョコであることを差し引いても1本でかなり食べごたえがあり、広い層の消費者に「新しさ」を伝えられそうな味わいとなっていた。
ネスレ日本は近年バレンタインデーに自分用のチョコを購入したり、友人同士でチョコを贈りあったりするなど、バレンタインデーにおける新たなニーズも見込んでブランド展開を行っている。ルビーチョコレートの初お披露目となるこのキットカットが今年のバレンタイン市場でどれほど受け入れられるかによって、今後「ルビー」が国内チョコレート市場の定番となるか、潮目が見えてくるかもしれない。